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センサのノイズ・EMC対策|誤動作の原因と配線・アース・シールド

インバータや溶接機の近くでセンサが誤動作する原因と対策が、配線分離→シールド・アース処理→インバータ・溶接機近傍の追加対策→動作確認の順で確認できます。ノイズは発生源・伝播経路で分類すると対策が決まります。下表で症状から対策を絞り込めます。

このページの目次

センサを誤動作させる電磁ノイズの種類と発生源

産業現場でセンサに影響するノイズは、発生メカニズムと伝播経路によって分類できます。

ノイズの種類主な発生源伝播経路センサへの影響
コモンモードノイズインバータ・サーボアンプのスイッチング電源線・信号線とアース・筐体間を通じて伝播出力のチャタリング・電源電圧変動
ノーマルモードノイズ大電流回路のON/OFF(コイル・リレー)電源線・信号線内を、本来の電流・信号と同じ経路で伝播測定値のスパイクノイズ
放射ノイズ(電磁波)インバータ・溶接機・無線機器空間を伝播してセンサケーブルに誘導アナログ出力の誤差・デジタル誤検知
静電誘導ノイズ高電圧ライン・帯電した被検物容量結合でセンサ信号線へ侵入出力の誤ON・測定値変動
グランドループノイズ複数のアース点間の電位差アース線を通じてセンサへ侵入基準電位変動による測定誤差

配線分離:動力線とセンサ信号線を分ける

ノイズ対策の基本は、ノイズ発生源(動力線)とセンサ信号線の物理的分離です。動力ケーブル(モータ駆動線・大電流ライン)とセンサケーブルを同一配管・ケーブルダクトに収容すると、誘導ノイズがセンサラインに乗ります。

推奨される配線分離の手順

  1. センサ信号線と動力線は別々のケーブルダクト・配管に収容します。設備条件や機器メーカーの指定に従い、距離の目安として30cm以上の離隔を確保します。
  2. やむを得ず交差する場合は直角(90°)で交差させます。並行に引き回さないようにします。
  3. センサケーブルの長さは必要最小限とし、余長はコイル状に巻かず、大きなループを作らないように処理します(コイル状にするとアンテナのようにノイズを拾いやすくなる)。

シールドケーブルの使用と正しいアース処理

アナログ出力センサや高精度な変位センサ・温度センサでは、シールド付きケーブルの使用が効果的です。ただし、シールドの接地方法が誤っているとノイズがかえって悪化することがあります。

シールドケーブルのアース方法

片側アース(アナログ信号の場合):シールドをセンサ側ではなくコントローラ(PLC・アンプ)側の1点でアースする方法が有効な場合があります。両端アースにするとグランドループが形成され、ノイズが増加する場合があるため、接地方法は機器の取扱説明書に従って選定します。

アース点の選び方:シールドの接続先は、PLC・アンプ・センサの取扱説明書に従い、コントローラ側の筐体接地端子や指定された接地点に接続します。動力機器の接地と信号アース(SG)は安易に共用せず、ノイズ電流が信号系に流れ込まないようにします。保護アース(PE)は安全上必要な接続を維持し、接地方法は機器マニュアルに従います。

アースの基本原則:

  1. 保護アース(PE)は安全上必要な接続を維持し、信号アース(SG)にはノイズ電流が流れ込まないよう、機器マニュアルに従って接地処理を行う
  2. アナログ信号用のセンサケーブルでは、シールドを片端アース(コントローラ側)とする方法が有効な場合がある。ただし、接地方法は機器の取扱説明書に従う
  3. アース線の断面積は電流に応じた適切なサイズを使用し、できるだけ短く低インピーダンスとなるように接続する(細すぎたり長すぎたりするとインピーダンスが高くなり、アース効果が低下する)

インバータ・サーボアンプ近傍のセンサへの対策

スイッチング動作により、kHz帯からMHz帯までのノイズ成分が発生することがあります。これらのノイズは、電源ラインには伝導し、空間には放射されることがあります。これらの機器の近傍にセンサを設置する場合は追加対策が必要です。

電源ライン側の対策

センサの電源ラインにノイズフィルタ(EMCフィルタ)を挿入します。インバータの動力電源とセンサの制御電源は別のトランス・電源ユニットから供給することを推奨します。同一電源からの供給が避けられない場合は、フェライトコアをセンサ電源ケーブルに通すことでコモンモードノイズを低減できます。

センサケーブルへの対策

センサケーブルに誘導ノイズが乗る場合、ケーブルにフェライトコアを取り付けます。フェライトコアはセンサ端子の近くに設置し、ケーブルを複数回巻き付けることで効果が高まる場合があります。近接センサでは、金属製センサボディのアースが取れている場合はボディをアースするとノイズ低減に有効な場合があります。

溶接ノイズ・静電気への対策

溶接機による誘導ノイズ

スポット溶接・アーク溶接では大電流が流れるため、周辺のセンサに誘導ノイズが発生することがあります。溶接設備近傍のセンサには以下の対策を組み合わせて実施します:センサケーブルのシールド処理・フェライトコア・溶接電流の帰路となるケーブルの短縮・溶接機とセンサの距離確保。

静電気による誤検知

樹脂・フィルム・粉体を扱う設備では静電気の蓄積が発生し、センサが誤検知することがあります。対策として、静電気対策品のセンサ(帯電対策コーティング・静電シールド付きなど)の選定と、設備へのイオナイザ(除電器)設置が有効です。

ノイズ対策の効果確認と診断方法

ノイズ対策実施後は、実際の設備稼働状態で動作確認します。オシロスコープをセンサ出力端子に接続し、出力信号の波形を観察します。ノイズが残存する場合は電源ラインのスパイクノイズ・出力信号のチャタリングの有無を確認します。

症状疑われるノイズ源追加対策
インバータ起動時のみ誤動作電源ラインの伝導ノイズ電源ノイズフィルタ・センサ電源を分離
溶接時のみ誤動作溶接機の誘導ノイズフェライトコア・配線分離・距離確保
特定の時間帯に間欠誤動作外部電波・外乱光・照明のフリッカ外乱光には遮光フード、外部電波にはシールド処理・接地見直し
アナログ出力値が変動・ドリフトグランドループ・コモンモードノイズシールド接地の見直し・差動入力使用
設備全体停止時は正常、稼働時に誤動作動力ケーブルからの誘導配線ルートの分離・ダクト分け

よくある質問(FAQ)

センサのアースと保護アース(PE)は同じで良いですか?

原則として、センサの信号アース(SG)と保護アース(PE)は安易に共用しないことを推奨します。保護アース(PE)は安全上必要な接続を維持し、信号アース(SG)と共用する場合は、ノイズ電流が信号系に流れ込まないように配線します。信号アース(SG)は専用のアースバーなどに接続し、機器マニュアルに従って接地処理を行います。

フェライトコアは何回巻けば効果がありますか?

一般に1~3回程度を目安に巻き数を調整します。複数回巻くことで効果が高まる場合がありますが、高周波ノイズでは少ない巻き数の方が適する場合があります。フェライトコアの材質(インピーダンス特性)は対象ノイズの周波数に合わせて選定します。インバータノイズにはMn-Zn系などが使われることがあり、対象周波数に合ったインピーダンス特性のものを選定します。

センサを交換したら誤動作するようになりました。なぜですか?

センサ型番・メーカーが変わるとノイズ耐量・応答周波数・出力回路の仕様が変わることがあります。特にNPN/PNP出力の変更、漏れ電流の差異、内部フィルタ時定数の違いが誤動作の原因になることがあります。交換後はカタログ仕様を比較確認してください。

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