プレス金型部品
- Q U曲げでフランジに凸部がある形状の凸部が変形する? A 【図1】のような形状のU曲げをすると、フランジの凸部が図のように変形することがあります。この現象は、製品形状を理解しないで金型を作ったときに起きます。【図2】に示すように、金型のパンチ・ダイが製品幅(A)より大きく作られていて、凸部の幅(B)が狭いときに発生します。パンチに押されて、ダイR面を滑って立ち上がったブランクのフランジ部は、パンチとダイの間に挟まれてダイ内へ移行します。凸部もパンチ・ダイに挟まれダイに入りますが、支えがないために素直に移動できずに、幅(B)が狭いと変形してしまうのです。タグ:
- Q 大きな円筒形状の作りたい。方法は? A 円筒形状は型曲げでも作ることはできますが、【図1】に示すようなロールを使って加工することもできます。このような加工方法を「ロール成形」とか「ロール曲げ」と呼びます。一般的には3本ロール加工で通用します。 ロール成形では2本の受けロール(B)に対して1本の可動ロール(A)を上側に置き、三角形に配置し、その間を材料を通すことで材料を丸め、筒状にします。筒の半径は(A)のロールの押し込み量で可変します。 ロールを使っても加工線は直線ですから、加工分類では曲げとなります。タグ:
- Q 曲げ線の長いU曲げ加工をすると、曲げ線方向に反りが出る。原因と対策を知りたい。 A 【図1】のようなU曲げをすると図のような形状に変形し、曲げ線は図のように反ります。金型やプレス機械の剛性が十分であっても、この現象は発生します。原因はスプリングバックにあります。 通常、U曲げではフランジは外に向かって開きます。この時にウエッブ部分も図のように反ります。この現象は製品の両端部分で大きく、中央に向かって減少します。この状況はウエッブ部分でも同様に変化しています。この変化がウエッブ部分の反りとなって製品に現れているのです。タグ:
- Q 曲げ加工をすると、曲げダイに接した部分にキズが入ることがある。このキズをなくせないか。 A 通常の曲げ加工では【図1】に示すように、曲げ過程では曲げフランジはダイ肩上を移動しながら曲げられていきます。この時にダイ肩半径が小さいと、曲げフランジにキズを発生させます。加工力と材料の降伏点が関係します。曲げ抵抗を小さくするにはダイ肩半径を大きくすることと、磨きで対策することができます。タグ:
- Q 曲げ内側の丸みが小さくなると、曲げたときに曲げ部に割れが発生するようになる。割れが発生しないで曲げることができる、最も小さい曲げ内側の丸みを最小曲げ半径と呼ぶ? A 正しい。曲げ内側の丸みを曲げ半径または曲げRと呼びますが、曲げ半径が小さくなるほど中立面の位置は曲げ半径側に移動します。このことは曲げ外側のR部分は大きな伸びが生じていることとなり、割れが発生しやすくなります(【図1】参照)。欠陥なしに曲げることのできる最小の曲げ半径を最小曲げ半径と呼びます。 解説: 最小曲げ半径は材料や曲げ加工の条件によって変わります。曲げ半径を小さくできる条件を示します。【図2】を参照してください。タグ:
- Q シェービングとは、ストリッパやダイに突起をつけて加工する方法をいう? A 間違い。ストリッパやダイに突起をつけて加工する方法は、精密せん断加工(ファインブランキング)である。 解説: シェービングとは、普通抜きされた外形抜きや穴抜きの切り口面を改善する加工方法です。改善の内容としては、切り口面から破断面をなくしてせん断面としたり、板厚面と切り口面の直角度を向上するといった内容です。もちろん寸法精度の向上も含んでいます。シェービングをするには、普通抜き形状をわずかに大きくしておきます。これをシェービング代と呼びます。シェービングはわずかに大きくしたシェービング代を削り取る加工です(【図1】参照)。削り取る量はそれほど大きくすることはできません。板厚の10%ぐらいが限度です。板厚が厚くなると1回のシェービングでは取り切れずに、複数回のシェービングが必要になることもあります。スクラップの処理もおこないにくいです。金型は比較的容易に作ることができますが、効率的な加工といえない部分があります。タグ:
- Q 打ち抜き力の軽減策として、刃先にシヤー角をつけるのは有効である? A 解説: 平らなパンチ・ダイを使った通常の抜き作業をすると、切れ刃全体で瞬間的に加工すると【図1】(a)に示すように、小さなパンチストロークで大きなせん断荷重が発生します。このとき、プレス機械には衝撃を与え、大きな加工音や振動が発生します。パンチまたはダイにシヤーをつけると、【図1】(b)の用のパンチストロークは長くなるが、せん断荷重は小さくなります。シャーをつけるということはハサミで材料を切るような形となり、傾斜分だけ時間をかけて抜くため、せん断荷重は下がり、衝撃も小さくなります。タグ:
- Q 抜きクリアランスを大きくすると、切り口面の悪化と抜き反り(湾曲)が大きくなるが、加工力は低下する? A その通りです。 解説:タグ:
- 絞り容器を封止して使う製品は多くあります。コンデンサーや水晶振動子、ヒューズなどです。 【図1】は絞りケースを使っての封止方法です。 (a)は、外装ケースの中に小さなケース(封止ケース)を圧入して封止するものです。外装ケースの内側は、封止ケースにあわせて段形状を作っておきます。 (b)は、外装ケースは(a)同様に、内径は段絞りとして封止部品の固定部位を作っておき、外装ケース縁をネッキング(口すぼめ加工)して封止部品を固定します。 (c)は、2つの絞り容器を組み合わせて、外側のケースの縁をカーリングして、内側ケースを固定する方法です。ボタン電池がこの構造になっています。タグ:
- シーミングは材料の縁を曲げて、からませて接合する方法です。ハゼ折り接合とも呼ばれます。 【図1】の(a)(b)はシーミング接合のイメージを示しています。(a)は2部品の接合をおこなうものです。(b)は材料の両端で接合して筒状の形状を作るものです。 【図2】はシーミングのいろいろな形状を示しています。タグ:
- 【図1】の(a)は丸めパイプと呼ばれる製品です。従来はパイプを切断したり、絞り加工で作られていたものを、コスト低減のために曲げ加工で作るようにしたものです。多く製品ではこの状態で問題なく使えるのですが、軸方向に圧力がかかるとか磁力線を通しやすくしたいといったときに、合わせ面を(b)のような形にして、より強固な接合とすることがあります。このときに注意することがあります。凸と凹の角に(c)に示すような逃がしを施すことです。角がぶつかってはうまく接合できません。板を少しずつ曲げて丸くしていく過程で凸と凹を合わせるので、凸と凹がゆるみを持って勘合するようにします。タグ:
- 【図1】に示す接合形状は一方の部品には穴を加工して、もう一方の部品には何らかの凸形状を作り接合するものです。【図1】の(a)~(d)に示す方法は、穴と凸部の摩擦力によって接合されます。具体的には穴に凸部を押し込む形を取ります。凸部が大きすぎると削りかすができたり、面が変形したりします。 この方法では2部品の接合だけでなく、積層することも可能です。モーターのローターやステータは、これらのどれかで積層されています。 個別に説明します。 (a)は突き出しを利用した接合です。通常の突き出し高さは板厚の70%程度です。あまり高くするとちぎれてしまうことがあります。突き出しと穴を別々に加工して接合する方法もありますが、多くは穴あけされた部品の穴を突き出しのダイにみた立て突き出し加工をして、接合します。タグ:
- プレス加工の工法の内に接合加工があります。【図1】に示すシャフトのかしめは、機構部品を作る際によく使われています。この形でのポイントは、かしめ強さと面に対するピンの垂直度です。かしめ強さはピン端部の潰し方とピンと穴の関係があります。一般的にはハイスピント呼ばれるかしめ機が、かしめ作業によく使われています。垂直度は(a)の形より(b)フランジのあるピンの方が勝ります。 【図2】は2部品をリベット(材質は鉄、アルミ、銅など)で接合するときの形を示しています。(c)はリベットかしめの標準的な形です。(d)はリベット端部に穴を設けてかしめを容易にした形状です。(e)はパイプを利用したかしめです。リベットによる接合では、リベットの軸の太りと端部の潰れで動かないように接合します。タグ:
- 【図1】は下向き絞りの金型構造を示しています。この金型構造は、主にフランジのある絞り加工に使われる構造です。 ダイの中にノックアウトを組み込んだ構造です。下向き絞り落とし型(円筒絞りの金型製作の要点 その4)で示した絞り落とし型と違って、ダイR下のストレート部分(ベアリング部)は長くても問題がありません。ベアリング部が短いと、絞り加工によって下げられたノックアウトが、ベアリング部下の逃がし部に引っかかり上がってこなくなる危険があります。 パンチとしわ押さえ用のスプリング長さとの関係等は絞り落とし型と同様です。タグ:
- 【図1】は下向き絞りの絞り落とし構造を示しています。絞り落としはフランジのない絞り加工に使われる構造です。 加工された製品は下に落とされるので、プレス加工の作業性はよいです。 プレス機械のスライドのストローク長さは絞り高さの2倍程度でも可能となります。 しわ押さえ用のスプリングの長さに制約を受けるので、絞り高さ限界は上向き絞りに比べて低くなります。 この金型のダイはダイR下のストレート部分(ベアリング部)は短くします。ベアリング部下の逃がしは、絞られた製品をパンチから外す必要があるので、角を作ります。C面やRを付けると、製品がパンチに付いたまま持ち上げられ不具合現象を起こすことがあるので、ダメです。製品外しを確実にするためには、この部分に製品をパンチから外すためのストリッピング爪を【図2】に示すようにつけます。爪は3〜4個所つけます。 パンチから製品を外すためには、ストリッピング爪を使う、使わないにかかわらず、絞りの縁が平らであることが必要です。絞りの縁が傾く原因はブランクの位置決めが悪い、絞りのクリアランスが片寄っている。または、しわ押さえが均一に働いていないなどに起因します。タグ:
- 3回、4回と再絞り加工が進むと、絞り率を大きくしなければいけません。そうすると、絞り前と絞り後の径の差が小さくなるため、「再絞り上向き絞り型」で示した再絞り構造のしわ押さえが使えなくなります。しわ押さえ部分が薄く弱くなり、破損しやすくなるためです。このような絞り加工に用いる再絞り金型は【図1】に示すような構造となります。 加工前の製品を乗せるプレートは位置決めとしてのネスト(ブランクホルダ)、しわ押さえ及びストリッパの3つの機能を持っていますが、この段階の再絞り型になるとしわ押さえ機能はなくなります。ストリッピング機能と位置決め機能が役割となりますが、位置決め機能も十分とはいえなくなり、次のような工夫をします。タグ:
- 【図1】は比較的小さな再絞り型です。上型はシャンクでプレス機械に取り付けられ、下型のダイクッションは簡易構造のものを採用しています。 上向き絞りが採用される理由は、 ダイクッションの利用が容易である。 製品の取り出しが上死点付近でのノックアウト排出、エアー飛ばしが利用できるので、単発作業での作業効率がよい。 トランスファー加工ではフランジが下となるので、製品が安定して搬送が容易である。 等があります。 金型構造上の特長を説明します。タグ:
- 【図1】は比較的小さな初絞り型です。上型はシャンクでプレス機械に取り付けられ、下型のダイクッションは簡易構造のものを採用しています。 上向き絞りが採用される理由は、 ダイクッションの利用が容易である。 製品の取り出しが上死点付近でのノックアウト排出、エアー飛ばしが利用できるので、単発作業での作業効率がよい。 トランスファー加工ではフランジが下となるので、製品が安定して搬送が容易である。 等があります。 金型構造上の要点について示すと、タグ:
- 円筒絞りの工程設計を「円筒絞りのブランク展開(円筒絞りの工程設計 円筒絞りの工程設計 その2)」で示した製品を例に必要な内容を検討してきて、最後に各工程の絞り高さについての説明です。 絞り高さを計算する専用の計算式がありますが、形状によっては簡易な方法があります。ここではこの簡易な方法について説明します。 【図1】の「計算内容」を参照してください。 製品形状を展開してブランクを求めました。このときの計算式の中に絞り高さの項目が入っています。このブランク展開式をh=の式に直して計算することで各工程の高さを知ることができます。【図1】の各項目に数値を当てはめていきます。タグ:
- ダイRを決めるには、「円筒絞りのパンチ肩半径を決める」のパンチRの決め方及び「円筒絞りのクリアランスとダイ寸法を決める」のダイ寸法をもとに決めます。それぞれの回を参照してください。 ダイRは、第1絞りから最終工程(この例では第4絞り)に向かって決めていきます。 このときに参考とするのが第1絞りのパンチRです。第1絞りのダイRは第1絞りのパンチRと同じか少し大きくします。そして、第1絞りのダイRの大きさは、 4t<第1絞りダイR<20t の範囲に無くてはいけません。タグ: