切削加工:工具の「寿命・耐久」
- [2024/8/29公開] Question ロールインアプローチのメリットは? フライス加工のロールインアプローチとはなんですか?またメリットは何ですか? Answer フライス加工のロールインアプローチとは、カッタの送りを加工物に対して円弧を描いてアプローチ(加工開始)するツール経路のことです。メリットは刃先の抜け際の切り屑の厚みが薄くなり、インサートの劣化を抑えます。 直線的なアプローチ:刃先の抜け際の切り屑の厚みが厚い ⇒刃先劣化が早い ロールインアプローチ:刃先の抜け際の切り屑の厚みが薄い ⇒刃先劣化が少ないタグ:
- [2024/8/29公開] Question PVDコートとCVDコートの違いを教えて 切削工具のコーティングでPVDコートとCVDコートがありますが、違いを教えてもらえますか? Answer 旋削チップなどに記載されているPVDコートとCVDコートの違いは製法の違いです。製法による一般的な機能の違いは、主に膜厚と密着力が異なる傾向です。 PVDとはPhysical Vapor Depositionの略で物理的蒸着法のことです。固体材料を加熱やスパッタ、プラズマなどにより蒸発・イオン化させて薄膜形成します。タグ:
- [2024/8/2公開] Question 切込み深さが小さいときにびびってしまいます エンドミルの側面加工で、軸方向の切込み深さが大きいときは問題無いのですが、小さいときにびびってしまいます。切込み深さが小さい方が切削抵抗が小さいと思うのですがなぜですか? Answer びびりが発生するのはエンドミルの先端が振れていることが考えられますが、軸方向の切込み深さを小さくするとびびるのは、加工物に接している刃数が変動し径方向の力が断続的になっていることも考えられます。 【軸方向切込み深さが小さく振動が大きくなる状態】 図1では軸方向の切込み深さが小さく、1枚目の外周刃が切り上がったときに、2枚目の外周刃はまだ加工物に接していません。加工物と断続的に接するので、エンドミルにかかる径方向の力も断続的で、変動が大きくなります。振動が大きくなるとびびりなどが発生し、加工面の面粗度が悪くなり工具寿命が短くなります。 図1
- [2024/2/2公開] Question ボールエンドミルの先端だけが早く摩耗してしまいます ボールエンドミルで加工していますが、ボールの先端だけが早く摩耗してしまいます。なにか改善する方法はありますか? Answer 改善する手段としてボールエンドミルの中心刃付近の切削を避けるため軸を被削材に対して傾けることや、回転速度を実切削径で設定することが考えられます。また、ラジアスエンドミルを適用することも有効です。 ボールエンドミルの先端だけが摩耗する要因として、回転軸付近での切削速度が遅いことが考えられます。先端中心では切削速度はほぼ0m/minなので、送り速度で擦っている状態になります。 (1)ボールエンドミルを傾けて加工する 5軸制御MCでは、被削材に対して回転軸を傾けることで、先端摩耗を軽減することができます。ロングネックボールなどは横方向の力に弱いため、極端な傾けを避け、被削材に対してピックフィード方向へ10~15°程度を目安にします。その場合の回転速度は傾けた刃先が被削材に触れる最外径での実切削径を元に算出します。
- [2023/11/28公開] Question ミスミのエンドミルのコーティングに関して教えて ミスミで使われるエンドミルのコーティングの種類について、用途や特長を教えてもらえますか?
- [2023/11/28公開] Question ドリル加工でセンターもみつけが必要な理由を教えて ドリル加工の工程を検討していますが、センターもみつけが必要な理由を教えてもらえますか? Answer 精度のよい安定したドリル加工のため、センターもみつけをおこないます 加工面が傾いていたりドリルの食い付きが悪いと、ドリルが振れたり傾いて被削材に進入します。その状態で加工すると穴形状が歪んだりドリルが折損したりします。あらかじめセンターもみつけをすることで、ドリルの芯ブレを抑えられます。 センターもみつけが必要なケースとポイントを以下に記載していますのでご参照ください。
- [2023/11/28公開] Question タップ折損時の対処方法を教えて タップ加工をしていて折ってしまいました。折れたタップが中に残って取り除くのに苦労しています。何か良い方法はありますか? Answer 折損タップ除去用工具を使用すると比較手的容易に除去できる場合があります タップ加工中に折損してしまった場合、折れたタップは被削材に噛み込んで取り除くのは容易ではありません。また多くのタップは硬度が高いハイス鋼なので、このことも除去を困難としています。放電加工で除去する方法もありますが、加工機の用意と加工時間がかかるので大変手間です。ここでは比較的容易に取り扱える折損タップ除去用工具をご紹介いたします。タグ:
- [2023/11/28公開] Question エンドミルでの高速ミーリングのメリットを教えて 切削条件で標準条件と高速条件がありますが、なぜ分けているのでしょうか?切り屑排出量を計算すると標準条件のほうが多いようでした。加工時間が遅い高速条件にはどういったメリットがあるのか教えてもらえますか? Answer エンドミルでの高速ミーリングは、工具の長寿命化と高精度加工によるトータル工数低減のメリットがあります エンドミルでの高速ミーリングとは、高硬度鋼材などにおいて切込み量と送り量を抑制し高速の回転速度で加工することで、高精度かつ工具寿命特性を高めた切削技術です。高速の回転速度で切込み量を少なくすると、刃先熱と刃先の切削負荷が低減し、エンドミルの寿命が延びます。また、高硬度鋼における高精度かつ高能率切削の実現で、例えば、金型の磨き作業を大幅に短縮できるなどのトータル工数の低減効果が期待できます。
- [2023/6/13公開] Question 日々のホルダや主軸のメンテナンスをしない場合、悪影響ありますか? 日々のホルダや主軸のメンテナンス・管理をしないとどうなりますか?メンテナンス方法はありますか? Answer 錆、打痕、傷の元となり、工具の無駄な出費や機械故障などの影響がでます。 十分な清掃をしないまま刃物交換を行うとホルダ、コレットに付着したクーラントに混ざったキリコが原因で刃先振れ精度が悪化したり、ホルダ、コレット、機械スピンドルに傷が付いてしまいます。また汚れた状態で長期間放置するとホルダに汚れが固着して、清掃しても簡単に汚れが取れなくなります。
- [2023/6/8公開] Question ツールホルダに傷がついたら、加工にどのような影響がありますか? ツールホルダに傷がついたらどのような影響がでますか?メンテナンス方法はありますか? Answer ツールホルダに傷がつくと主に加工精度に影響があります。 機械スピンドルとのインターフェーステーパ部に、わずか1μのキリコや異物が侵入するだけで工具刃先の振れ精度が10μに増大すると言われています。ゆえにツールホルダテーパ部の傷は工具刃先の振れ精度悪化に直結します。
- [2023/6/6公開] Question CBNインサートでの旋削加工時の正しい切削油の使用方法は何ですか? CBNインサートを用いた旋削加工時に切削油は使用するべきでしょうか。また切削条件や加工種類、材種の硬度によって使い分ける必要はありますか? Answer CBNインサートは連続加工時では切削油を使用、断続加工時には使用しないことが長寿命化のポイントになります 加工物によって適切な切削油の使用方法が異なります。 連続加工時は切削油を使用した方(湿式加工)が工具寿命延長に効果的です。 一方、断続加工時は切削油を使用しない方(乾式加工)が工具寿命延長に効果的です。
- Question 小径のエンドミルがすぐ折損してしまい困っている 微細形状加工に小径のエンドミルを使用していますが、チッピングや折損が起こりやすく困っています。どのように対策をすればよいでしょうか? Answer 振れ精度 小径のエンドミルは剛性が低いため折損しやすい工具ですが、その原因の第一は、工具自体の振れや保持具により発生した振れの影響によるものです。 折損を防止するには、振れ精度の管理を徹底することが必要ですが、焼ばめホルダのように保持精度が高い保持具を使用することが有効です。 切削速度を上げて切削特性を高める 一般的にエンドミル刃先の切削特性は、十分な切削速度がなければ発揮されません。小径のエンドミルは、回転速度を上げても切削速度がそれほど上がらず、特にボールエンドミルの場合、実切削部の工具径がかなり小さくなるため、刃先の切削特性が十分に発揮されない状態で使用されていることが多くあります。小径のエンドミルを使用する場合は、実切削速度を意識した対応が必要です。
- タップ加工時の3大課題は、①折損・欠け②ねじ精度の不良③むしれ・かじりなどである。実は、これらの課題に共通する主な原因は、切りくず処理である。ここでは、切りくず排出性の高いタップを使用することで、切りくずが原因のトラブルを防止し、加工コスト削減効果と加工の安定による安心感の確保を実現することができた事例を紹介する。 タップ加工のトラブルの原因は「切りくず」!防止のコツは切りくず排出性向上にあり 解決事例―切りくず排出性の高いタップで、加工コストの削減、安心感の確保を実現 タップ加工のトラブルの原因は「切りくず」!防止のコツは切りくず排出性向上にあり タップ加工時の3大課題は、①折損・欠け②ねじ精度の不良③むしれ・かじりなどである。実は、これらの課題に共通する主な原因は、切りくず処理である。 図1 主なトラブル要因である「切りくず」の例タグ:
- バリ取り、バリ抑制、工具の摩耗管理、再研磨・・・切削加工現場で日々発生するさまざまな課題。『他社はどう対処しているのか?』『今のやり方以外にもっとよい解決方法はないのか?』と感じることも多いのではないだろうか。そこで今回、2社の切削加工のプロフェッショナルにオンラインで切削加工現場の課題について語り合っていただいた。ここでは、バリの除去や工具の摩耗管理について、各社の対応に共通点・差異が如実に現れた第1回目のセッションを振り返りながら、課題解決の勘所を紹介する。
- 工具材質の特性 切削工具材質の特性 ハイス(高速度鋼)は、靱性は非常に高いですが硬度が低く、またダイヤモンド(PCD)は非常に硬いですが、その反面、靱性が非常に小さく欠けやすいです。超硬は、硬度と靱性の間のバランスがよくとれており、さらに切削時の高温許容度も高く、幅広く使用されています。前述のハイスは切刃温度が7〜800℃以下でないと使えず、そこで鋼をバリバリ切削するのは困難です。ダイヤモンド(PCD)も硬度が非常に高いですが許容温度から制限があり鋼をバリバリ切削できません。アルミニウムのように切削熱の上らない素材を高速で切削します。
- Question 小径のねじ穴加工でタップがすぐ破損してしまい困っている M4以下の小径になればなるほどタップの折損が多くなってしまいます。 小径のねじをうまく加工するにはどうすれば良いでしょうか? Answer 切削タップの小径ねじ穴加工の限界 ねじ穴が小径になればなるほど切りくずを排出するスペースが小さくなり、その結果切りくずの詰まりが発生しタップの折損というトラブルが起こってしまいます。 小径ねじ穴加工に最適な工具 (1) 小径用ねじ切りカッターを使用すれば切りくずを細かく分断することが可能となり、安定した小径ねじ穴加工が可能となります。タグ:
- Question ステンレス鋼のドリル切削で、折損トラブルを回避するには? ハイスドリルでは加工能率が低いため、超硬ドリルの使用を検討しています。 ステンレス鋼の穴加工で超硬ドリルを使用する場合、折損トラブルの発生が気になりますが、何か有効な対策はありますか?タグ:
- Question 従来使用してきたハイスドリルは社内研磨が可能だが、超硬ドリルは外注の必要があります。しかし超硬ドリルは寿命判定が難しく、突然折損することがあり困っています。再研磨に出すタイミングをどのように判断したらよいのでしょうか? Answer 再研磨の必要性と判断基準 ハイスドリルは靭性が高いためチッピングしにくく、切れ刃が摩耗しても折れにくいという長所があります。 一方、超硬ドリルは切れ刃の寿命は長いものの靭性が低いため、ハイスドリルに比べてチッピングや折損が 起こりやすくなります。 したがって、超硬ドリルの損傷状態をチェックして再研磨のタイミングを設定することは、ドリルの再利用 と安定加工における重要なポイントとなります。 再研磨の判定基準としてはタグ:
- Question 新品の工具を使用後、再研磨に出して粗加工に使っていますが、担当者によって再研磨に出すタイミングがばらばらです。再研磨に出すべきか、まだ使えるかについて、どのように判断すればよいでしょうか? Answer 逃げ面摩耗幅による判定 逃げ面摩耗が進行すると刃先位置が後退するために、加工精度が維持できなくなり、さらに加工面粗さ精度にも影響を及ぼします。そのために、逃げ面摩耗幅で再研磨時期を判断することが必要です。 具体的には、仕上げ加工用エンドミルでは逃げ面摩耗幅0.1~0.2mm、粗加工用エンドミルでは0.6mmが再研磨のタイミングの判定基準の一例です。タグ: