射出成形用部品
- プラスチック射出成形金型では、成形品を所望の品質で生産するための機能が求められますが、それと同時に最小限の生産コストで生産可能であることも要求されます。 プラスチック射出成形加工の成形サイクルは、下記のように定義されます。 成形サイクル(sec)t=t1+t2+t3+t4 t1:射出時間=充填時間+保圧時間(sec) t2:冷却時間(sec) t3:成形品取り出し時間(sec) t4:金型開閉時間(sec)タグ:
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (7)ロケートリング用穴 7.1 直径 【表】ロケートリング用穴の直径Dタグ:
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (6)ノズル 6.1 球状部の形状 ノズルの先端は、球状とし、【図】に示す曲率半径はRは、10mm、15mm、20mm又は30mmとする。 その許容差は、いずれも-0.05/-0.25mmとする。 6.2 球状部の範囲 【図】に示す球状部の範囲Hは、5mm以上とする。 また、ノズルは、球状部に外接する頂角α(最大90°)の円すい面C内になければならない。タグ:
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (5)押出ロッド穴 5.1 押出ロッド穴の配置 押出ロッド穴を可動盤に設ける時は、【図】の配置による。 5.2 押出ロッドの直径 押出ロッドの直径は、30mm又は50mmとし、それぞれの使用場所は、【図】による。タグ:
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (4)金型取付盤の取付穴及び取付ボルト 4.1 金型取付ボルト 金型取付ボルトは、JIS B 1180のM12、M16、M20又はM24とし、金型取付ボルトと型締力との関係は、【表】による。 4.2 金型取付穴 4.2.1 取付穴の配置 金型取付盤(プラテン)の取付穴中心は、【図】に示す実線の交点とする。ただし、金型取付ボルトM12を使用するときは、実線と破線との交点及び破線と破線との交点を使用してもよい。 なお、周辺では、【図】によらず、ずらしてもよい。 また、金型取付盤中心部、タイバー付近、押出ロッド穴付近は、省略してもよい。タグ:
- <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (3)タイバーの間隔寸法 タイバーの間隔寸法は、【図】に示すようにタイバーの内側距離(A、B)をいい、【表】による。 解説 この規格は、型締力が196〜7845kN(20〜800tf)のプラスチック射出成形機のタイバーの間隔寸法について規定されています。 タイバーの間隔寸法は、金型をプラテンに取付ける場合のモールドベースの最大外形との干渉が起きないかどうか、もっと分かり易く言えば、金型がプラテンに取付けられるかどうかを判断する指標になります。 金型の取付方法は、タグ:
- プラスチック射出成形金型は、射出成形機に取り付けられて使用されますが、金型を成形機に取り付ける仕様は各成形機によって異なっているのが現状です。 一方、JISでは「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」について推奨標準規格を規定しています。(JIS B 6701-1992) 今後、日本国内で生産される一般的な射出成形機については、この規格が参照されるようになると考えられます。 今回から数回にわたって、この規格について紹介を行いたいと思います。 1つだけご留意をお願いしたい点は、実際の金型設計にあたっては、使用予定の射出成形機の金型取付仕様を最終的な判断情報として第一優先で考えてほしい点です。 JIS規格は、あくまでも推奨の標準規格であり、射出成形機の特徴や個性によって、規格内容が変更されている場合もあり得ますので、この点を記憶に留めておいてください。 <JIS B 6701-1992> 「プラスチック射出成形機の金型関連寸法」 (1)適用範囲 この規格は、型締力が196〜7845kN(20〜800tf)のプラスチック射出成形機の金型取付寸法等について規定されています。タグ:
- インサート成形法は、インサート(金属部品等の挿入物のこと)を金型が開いている間にキャビティに装着し、その後金型を閉じて射出成形する方法です。 真鍮製のねじやシャフトをインサート成形したハウジングや、金属端子や接点をインサート成形した電子部品などの射出成形に使用されています。 インサートは、ばらばらの個別部品として機械加工しておいたものを、手作業やロボットによってキャビティに装着する方法が最も単純な方法です。(【図1】) 大量の部品を効率的に生産するためには、金属フープにプレス順送金型であらかじめ形状加工をしておいたものを、キャビティ内に自動送りをして、連続成形する方法も考案されています。(【図2】)タグ:
- ブロー成形法は、ジュース等のペットボトル容器(ペットは、PETポリエチレンテレフタレート樹脂のこと)などの中空成形品を射出成形する方法です。 シャンプーの容器、しょうゆ等調味料の容器、洗剤容器などの生産に世界中で多用されています。 ブロー成形が可能なプラスチック材料としては、ポリエチレンテレフタレート、ポリプロピレン、ポリ塩化ビニル、ナイロン、ポリカーボネートなどが挙げられます。 ブロー成形は、専用のブロー成形機を使用します。また、金型は、雌型キャビティのみで、雄型のコアはありません。 その代わりに、空気を吹き込むノズルが準備されていて、パリソンと呼ばれる予備成形された風船状の成形品を膨らませて、キャビティに密着させて、形状を転写させます。 ブロー成形の場合は、一般に比較的柔らかい金属がキャビティに使用されます。アルミニウム合金、青銅などが使用されますが、特殊鋼も使用されます。 成形品の表面は、美しい光沢が求められることが多いため、キャビティ内面の磨きは十分に行わなければなりません。 また、飲料用容器のブロー成形では、多数個取りが一般的であり、ハイサイクルが要求されるために、金型の冷却・温度調節機能にも工夫が必要になります。タグ:
- 今回から特殊なプラスチック射出成形法について、紹介を行いたいと思います。 まず初回は、二色射出成形法です。 二色射出成形法は、最近では「二材質射出成形法」とか「異材質射出成形法」などと呼ばれる場合もある成形方法です。2種類の熱可塑性プラスチック材料を、それぞれ別々の射出シリンダーから金型内部に順次、射出充填して、2種類の色彩の成形品を生産することができる方法です。 高級デスクトップパソコンのキートップや、カーナビゲーションユニットの照光ボタンなどに多用されている成形技術です。 一般には、成形材料は、PS樹脂やABS樹脂などの同じ種類のプラスチックが使用される例が多いようです。成形品どうしの密着性が良好な理由からです。ABS樹脂とPOMのように異なる種類のプラスチック同士でも成形品は作れますが、密着性は必ずしも良好ではありません。(密着性が良い場合と悪い場合でそれぞれの用途はあります) さらに、熱可塑性プラスチックと熱可塑性エラストマー(ゴム状のプラスチック)の組み合わせなど最近ではユニークな組み合わせも実用化されています。(スポーツ用品など)タグ:
- 一般に、荷重たわみ温度が150℃以上のエンジニアリング・プラスチックのことを、「スーパーエンプラ」と称しています。 スーパーエンプラは、21世紀の新しい製品に多用されるものと予測されている近未来の材料です。 スーパーエンプラの代表的な材料の概要は下表の通りです。タグ:
- 射出成形加工の生産能率を評価する指標の一つとして、「成形サイクル」が挙げられます。 成形サイクルとは、1回の射出成形加工が開始してから終了するまでの単位時間のことを指します。 具体的には、成形サイクルは、下記の構成をなしています。 成形サイクル(sec/ショット)= 型閉時間 +充填時間 +保圧時間 +冷却時間(可塑化時間を含む) +型開時間 +取り出し時間 成形サイクルが短いほど、単位時間当たりの成形品生産量を大きくすることができます。 例題 成形サイクルが現在10秒の金型があった。金型の冷却回路を工夫することにより、冷却効率が高められ、冷却時間が短くなり、結果的に成形サイクルは、9秒にすることができた。 この場合、どのようなことが考えられるか?タグ:
- 350t以下の型締力の射出成形機では、全電動式射出成形機が急速に普及しています。全電動式射出成形機の持つ優れた特徴を最大限に引き出すためには、下記のポイントに留意した金型設計が重要になります。 (1)精密な位置決め 全電動式射出成形機では、金型の開閉を高速で行うことができますが、可動側と固定側のキャビティの位置決めを正確に行いながら、コアピンどうしの接触時の破損や異常摩耗を防止するために、精密な位置決めガイドを装着することが推奨されます。 ミスミの標準部品としては、 テーパピンセット TPN 他 テーパブロックセット TBS 他 サイドストレートブロックセット TSSB などが推奨部品です。タグ:
- プラスチック射出成形金型は、射出成形品を生産するためのマザーツールであることは当然ご承知のことかと思います。 射出成形品の品質やコスト、生産能力も金型が大きな影響を与えることも理解ができると思います。 成形品生産システムは、下記のようなサブシステムにより構成されています。 成形品生産システム−−− 射出成形機 金型 金型温度調節装置 成形品取出装置 成形材料供給装置 成形品検査装置 二次処理装置 空調管理装置(クリーンルーム) 成形品生産システムの全体最適化を実現するためには、下記の管理目標(ターゲット)を数値データ等により明確化することが必要です。タグ:
- プラスチック射出成形金型は、射出成形品を効率よく生産することができるかどうかが、その存在価値を決定するといってもよいでしょう。 では、射出成形品の生産効率を評価する指標としては、どのようなものが適切でしょうか? その筆頭と言える指標は、射出成形品の製造原価でしょう。短い成形サイクルで、しかも多数個取りで、成形不良もほとんど発生しない金型であれば、成形品1個当たりの製造原価は著しく低く抑えることができます。 プラスチック射出成形品の原価構成は、一般に下記のようになっています。タグ:
- プラスチック射出成形では、細いリブの先端部等にガス焼けが発生し、成形品の一部が黒変し炭化してしまう現象が見られる場合があります。 ガス焼けの発生メカニズムは、金型のキャビティ内部の空気が、キャビティ内部に流入してきた溶融プラスチックによって排気される際に、行き場のない閉塞状態となってしまった場合に、空気が圧縮されるために自己発熱し、それによって燃焼するために発生します。 空気は、気体ですので圧縮されますが、圧縮に伴って発熱します。自転車のタイヤに空気入れで空気を送り込む時に、空気入れが熱くなるのと同じ理屈です。 キャビティ内部の残存空気の圧縮は、通常0.1〜0.5秒程度の短時間に発生し、しかも1平方センチあたり200〜500kgfもの高い圧力で圧縮されるので、簡単にプラスチックの燃焼温度まで昇温してしまいます。(【図】参照)タグ:
- フェールセーフ(fail safe)とは、システム又はこれを構成する要素が故障しても、これに起因して労働災害が発生することのないように、あらかじめ定められた安全側の状態に固定し、故障の影響を限定することにより、作業者の安全を確保するしくみのことです。「工作機械等の制御機構のフェールセーフ化に関するガイドライン」、平成10年7月28日付け基発第464号、2(3)より) 金型や射出成形機などの機械の本質的な安全化を図るためには、「1. 機械は故障する」、「2. 作業者は誤りを犯すことがある」という2つの点をまず認めた上で、仮にこれらが偶発的に発生しても作業者の安全が確保される構造を、機械の設計、製造、改造等の段階で構築しておく必要があります。 このために「安全確認システム」が採用されますが、「安全確認システム」が故障すると、作業者の安全が確保されずに労働災害が発生することがあるため、「安全確認システム」では故障時、必ず安全側(労働災害を発生させない形で機械を停止させる側)となる特性が必要があります。 フェールセーフを実現するためには、下記に列挙する「フェールセーフ化の原則」に沿って金型や射出成形機、自動機等を設計し、製作し、改造する必要があります。タグ:
- 射出成形金型を成形機に取り付け、溶融樹脂を射出ノズルから金型内部へ注入しますと、キャビティ内部には高い充填圧力が作用します。この圧力によって金型のパーティング面は開こうとしますので、これを瞬間的に開かないように締め付けておく必要があります。 もし、パーティング面がほんの少しだけでも開いてしまったならば、バリが発生してしまうことは容易に想像ができると思います。 この金型を締め付けておく力のことを「必要型締力(必要かたじめりょく)」と呼びます。必要型締力の単位は、力の単位であるN(ニュートン)またはkgf若しくはtfです。 金型を新規に設計する際には、金型がどのぐらいの必要型締力の射出成形機に取り付けるのが最適であるのかを理論計算で求めておく必要があります。 仮に、100tfの必要型締力が計算で求められていたとして、この金型を75tfの成形機に取り付けた場合、成形品はバリだらけとなり成形加工が不可能となってしまいます。また、300tfの成形機に取り付けた場合は、成形加工は可能であっても、成形機の時間工賃が100tfよりも300tfの方が一般的には高額なため、成形加工コストは高くなってしまいます。 金型の必要型締力は、下記の計算式により求めることができます。タグ:
- 前回説明しました、代表的なプラスチック材料についての成形収縮率の目安について、追加をしたいと思います。今回は、エンジニアリングプラスチック(通称エンプラ)をまとめています。 別表には、主要な熱可塑性プラスチックとその成形収縮率、キャビティ表面温度、射出成形圧力を示します。より詳しくは、成形材料メーカーより、グレードごとの材料カタログや技術資料を入手して、意志決定のための資料とするのが一般的です。 *特別に指定がない場合は、ナチュラル材の価を示します。 ■主要なプラスチック材料の成形収縮率一覧表<2>
- プラスチック射出成形金型の設計をするためには、成形収縮率の決定が重要であることはすでに説明をしましたが、今回は、代表的なプラスチック材料についての成形収縮率の目安について説明をしたいと思います。 【表1】には、主要な熱可塑性プラスチックとその成形収縮率、キャビティ表面温度、射出成形圧力を示します。 より詳しくは、成形材料メーカーよりグレードごとの材料カタログや技術資料を入手して意志決定のための資料とするのが一般的です。 *特別に指定がない場合は、ナチュラル材の価を示します。