射出成形加工の生産能率を評価する指標の一つとして、「成形サイクル」が挙げられます。
成形サイクルとは、1回の射出成形加工が開始してから終了するまでの単位時間のことを指します。
具体的には、成形サイクルは、下記の構成をなしています。
成形サイクル(sec/ショット)= 型閉時間
+充填時間
+保圧時間
+冷却時間(可塑化時間を含む)
+型開時間
+取り出し時間
成形サイクルが短いほど、単位時間当たりの成形品生産量を大きくすることができます。
例題
成形サイクルが現在10秒の金型があった。金型の冷却回路を工夫することにより、冷却効率が高められ、冷却時間が短くなり、結果的に成形サイクルは、9秒にすることができた。
この場合、どのようなことが考えられるか?
解答例
成形サイクルは、10秒から9秒に短縮されたので、1秒短くなった訳である。
たった1秒ではあるが、変化率として考えてみると、
変化率=(10−9)秒/10秒×100
=10%
となり、10%の生産効率が改善されたことになる。
仮にこの金型の取り個数が、12個取りや24個取りのようにたくさんの取り個数であり、さらに類似の金型が複数あったとすれば、工場全体での生産効率が10%改善されたことになり、製造原価として金額換算してみると、莫大な金額になり得ます。
つまり、成形サイクルを評価することは、工場の利益体質を強化することに直結しており、単なる1秒の短縮のみではなく極めて大きな良い影響をもたらすことに通じています。
したがって、金型の設計において、成形サイクルをどのぐらい短縮することができるかを常に考えることは、極めて重要であるということになります。
また、目標成形サイクルを金型設計者が見積もることも極めて重要な意義があります。
優れた金型設計技術者は、当然に目標成形サイクルを見積もっています。