射出成形用部品
- プラスチック射出成形金型では、高温で溶融しているプラスチックを金型のキャビティ内へ射出注入し、冷却によって熱を奪い、プラスチックを液体から固体へと固まらせて成形品を生産します。これはあたりまえの工程なのですが、熱量の移動という観点から考えますと、【入って来る熱量】と【出て行く熱量】がいかほどなのかを真剣に考えようとすると結構難しいことが判ると思います。 熱の伝わり方には次の3つのパターンがあります。 (1) 熱伝導 (2) 熱伝達 (3) 熱輻射 したがってプラスチック射出成形における熱の伝わり方も(1)、(2)、(3)のいずれかの伝わり方によります。タグ:
- 今回は、プラスチック射出成形金型設計におけるチェックリスト、金型温度管理編です。 プラスチック射出成形金型は、成形加工を行う際に、樹脂固有の金型温度に保持をしておかなければなりません。そのためには、使用する樹脂の金型温度範囲を正確に把握して、適温領域に保持するための機能を金型に盛り込む設計をする必要があります。 以下に、金型の温度管理に必要な設計チェック項目を挙げてみます。タグ:
- 使用後に、土壌中や海底などで、微生物によって生分解するプラスチックが各種開発されて市販が進んでいます。このような種類のプラスチックは、環境保護に優れた効果を発揮できる素晴らしい素材であり、今後も幅広く、かつ大量に利用されていくものと考えられています。 現在では、下記のような応用製品に既に採用されて、市場へ展開をしています。タグ:
- プラスチックは、炭素や水素、酸素などからなる高分子であり、その多くは加熱によって燃焼します。燃焼のしやすさ(しにくさ)は、プラスチック製品の使用環境によって大変重要な因子となります。 プラスチックの燃焼性は、様々な試験方法があり、用途によって使い分けられています。 以下に主要な試験方法について概説します。タグ:
- ホットランナーは、射出成形加工時にランナー部を加熱溶融させておいて、スクラップを排出させないで成形加工ができる方法です。ホットランナーの構造は、加熱や射出方式などでいろいろな種類の構造が実用化されています。 主なホットランナーの構造と特徴は次の通りです。
- 樹脂成形金型は、量産成形加工を重ねていく途上で、樹脂から発生するガス成分ややに、大気中の水分等が、金型部品の表面や入れ子分割のすき間に堆積して、成形不良を引き起こす原因となります。 したがって、金型は定期的に分解清掃クリーニングを行う必要があります。 金型の分解清掃クリーニングは、一般に下記の手順で行います。 金型の分解 ↓ 金型部品の洗浄、錆び落とし等 ↓ 金型の組み立て ↓ 金型の作動確認 メンテナンスを行いやすくするためには、金型の設計の段階で工夫を盛り込んでおくことが賢明です。以下にそれらのアイデアを示します。
- プラスチックは、高分子構造(多数の分子が連なっている構造を持つ物質)をしていますが、一般に高分子構造物質は電気を通しにくい性質をもっています。プラスチックのほとんどは電気を通しにくい電気絶縁物質でありますので、電気関係の遮断機(ブレーカー)やコネクターのインシュレータ等に使用されています。 しかし、プラスチックを含む高分子の中には、電気を良好に伝導する性質を持ったものが存在します。これらは、「導電性高分子」と呼ばれています。 導電性高分子の中で最も著名なものは、ポリアセチレンで、白川英樹博士がノーベル化学賞を受賞した研究対象であったことも知られています。 導電性高分子を用いれば、金属部品を用いないで高分子のみで電子回路を形成することが可能になります。そうすれば軽量で軟質の部品を開発できる可能性が高くなり、今まで実現できなかった製品に応用できるかもしれません。 導電性高分子をもちいた射出成形品の開発は、現在のところほとんど実施されていません。今後の新しい物質の開発によっては、射出成形加工や押し出し成形加工で、身の回りの重要な製品の部品を加工するように技術開発が進展するかもしれません。 主な導電性高分子を以下に示します。タグ:
- ポリグリコール酸(PGA)は、石油を原材料として合成される脂肪族ポリエステルで、生分解性の特徴を有するプラスチックです。 ポリグリコール酸の最大の特徴は、酸素ガスや炭酸ガスを透過させにくい性質に優れている点が挙げられます(ガスバリア性)。ガスバリア性が良好なプラスチックは、炭酸飲料やビール、薬品、液体調味料などのプラスチック容器が備えるべき特性として、重要な意味合いを持っています。 ポリグリコール酸の存在はかなり以前から知られてはおりましたが、工業的生産プロセスで大量に製造をすることが難しく、実用レベルでの採用はほとんどなされませんでした。 しかし、近年、日本の化学メーカーが大量生産方法の確立に成功し、市販レベルでの流通の見通しがつくようになりました。これをきっかけに、容器への適用が検討されていくものと推察されています。 ポリグリコール酸は、熱可塑性プラスチックで結晶性です。したがって射出成形加工が可能で、ブロー成形も可能です。成分としては、酸素(O)、炭素(C)、水素(H)のみからなる、単純な構造のポリエステルです。融点は218℃です。タグ:
- プラスチック射出成形機は、1921年にドイツで発明されたとされています。当初は、成形材料として、ポリスチレン樹脂、アセチルセルロース樹脂(酢酸繊維素プラスチック)、ポリメタクリル酸メチルエステル樹脂(PMMA、アクリル樹脂)が使用されていたと記録されているようです。 日本では、昭和12年(1937年)に、2オンスの射出成形機が輸入されました。輸入元は、エッケルト・チーグラー社でした。 日本の国内で初めて製作されたプラスチック射出成形機は、参考文献によれば、名機製作所製の8AHという機械です。駆動方式は手動で小型の成形機であったそうです。その後、第二次世界大戦の最中には数十台の射出成形機が製作された模様です。 戦後、昭和26年ごろには約60台の射出成形機が使われていたのと記録があります。 射出成形機の生産台数は、年代を追うごとに以下のような数字で推移をしています。タグ:
- 現代社会では、自動車や家電、食品容器、医療用具などの生活に不可欠な製品の無数の部品に、プラスチック素材が利用されています。しかし、工業用途で使用されるプラスチックが、化学合成によって人工的に生産が可能になったのはわずか135年ほど前であって、人類の歴史の中ではつい最近になって見出された素材なのです。 初期のプラスチック素材は、天然に存在する有機物でした。代表的なものとしては、ゴムの樹液からつくられる生ゴム、南方の国々に生息するラック虫が分泌する液から作られるシェラックなどが挙げられます。また、「松やに」も天然樹脂の一種と考えてよいでしょう。 プラスチックを人工的に合成ができるようになった最初は、硝化綿(セルロースニトレート)です。別名はセルロイドとして著名です。初期の子供のおもちゃでは、セルロイド製の玩具が大流行した時期がありました。硝化綿は、ドイツのシェーンバインによって1845年に初めて合成されました。 その後、アメリカのジョン・ハイアットが硝化綿に樟脳(しょうのう)を混ぜてセルロイドを発明し、ビリヤードの球として採用され、その後玩具や人形などに世界中で多用されました。
- 金型を温度維持するためには、冷却水(温水)やカートリッジヒーターで熱エネルギーを型板やキャビティヘ供給しなければなりません。金型へ熱を供給するためには、必要な熱エネルギーの容量を計算しておく必要があります。"経験と勘"で金型を温度調節することで対応が可能な場合もありますが、新しい金型を新規に設計する場合には、技術計算である程度必要な熱容量を予測しておく姿勢は大切です。これから新しいプラスチックの射出成形金型を開発するためには、今までの経験のみでは対応が図れなくなる場面が増えてくることが予測されます。 今回も、先回同様にケーススタディで、金型の温度調節に必要な熱容量を計算する練習をしてみましょう。 問題 プラスチック射出成形金型があり、2プレート構造のコールドランナー金型構造を採用している。この場合、以下の設例に基づいて、金型の温度調節に必要な熱容量を求めよ。タグ:
- プラスチックの強度を改善するためにガラス繊維を添加したプラスチックが使用されていますが、通常のガラス繊維の長さは0.3〜0.6ミリ程度に止まっています。しかし最近では、ガラス繊維長さを6〜15ミリと極めて長くして添加する長繊維強化プラスチックが開発されています。 長繊維強化プラスチックの特徴は次の通りです。
- プラスチックの強度を強化するために、材料にガラス繊維を添加したプラスチックが射出成形で使用されています。ガラス繊維は、それ自身がプラスチックよりも強度を有していますが、ガラス繊維のみでは耐衝撃性が低くもろい特性がありますので、プラスチックと混合されることにより、もろさの弱点を回避した成形材料として実用に耐えられるようになります。 ガラス繊維入りプラスチックは、射出成形の際に以下のような現象が発生することが知られていますので、使用に際しては留意が必要になります。 (1)配向の発生 ゲートからキャビティへ流入する際に、ガラス繊維が流れの方向に沿って並んでしまう現象が発生しやすくなります。この現象は、配向(オリエンテーション)と呼ばれています。配向の発生によって、成形収縮率が流れ方向と流れに直角方向で大きな不均一が生じます。 また、引張強度や圧縮強度が繊維の方向によって変化します。
- 生分解性プラスチックは、土中やコンポスト中、海底等において、微生物の働きによって水や二酸化炭素に分解されます。 その分解の機構は、以下のような段階を経てなされることが分かってきました。 生分解性プラスチック ↓ 水、pH、温度+微生物 ↓ 低分子化合物(脂肪酸、アルコールなど)+微生物(メタン細菌=いろいろな種類がいる) ↓ 水、二酸化炭素、メタン アルコールからの化学反応は、例えば以下のような機構で行われます。タグ:
- 生分解性プラスチックは、土中やコンポスト中、海底等において、微生物の働きによって水や二酸化炭素に分解されます。 その分解の機構は、以下のような段階を経てなされることが分かってきました。 生分解性プラスチック ↓ 水、pH、温度+微生物 ↓ 低分子化合物(脂肪酸、アルコールなど)+微生物(メタン細菌=いろいろな種類がいる) ↓ 水、二酸化炭素、メタン 脂肪酸からの化学反応は、例えば以下のような機構で行われます。タグ:
- プラスチック射出成形金型は、量産成形加工を続けていく途中で、部品の磨耗や破損などが必ず発生します。そのような場合には、部品交換や補修によるメンテナンスを行う必要があります。 メンテナンス事項には、一般的に下記のような内容があります。タグ: