化学処理:エッチング
- 化学エッチングや電解エッチングは、電子工業、精密機械工業、印刷工業などのあらゆる分野で基礎的な技術として応用されてきました。なかには他の優れた加工技術の進歩によってその役割を終えたものもありますが、いまなお重要な加工技術であることに変わりはありません。幾つかの例を紹介しましょう。
- 化学エッチングや電解エッチングは、電子工業、精密機械工業、印刷工業などのあらゆる分野で基礎的な技術として応用されてきました。なかには他の優れた加工技術の進歩によってその役割を終えたものもありますが、いまなお重要な加工技術であることに変わりはありません。幾つかの例を紹介しましょう。 (1)薄膜のエッチングによる回路形成 コンピュータや通信機器などの電気回路は、プリント基板で構成され、そ
- 通常のラッピングにおけるラップ液として電解液を用い、電解エッチングを行いながらラッピングを行う方法を電解ラッピングといいます。この方法は、加工物表面にできる皮膜を電解エッチングによって除去してラッピングが進行しますので、電解研削や電解ホーニングにおける固定砥粒のかわりに遊離砥粒を用い、これを電解液の中に混合させた状態で行います。 電解ラッピングは、実施方法によって【図1】に示すような3種類に
- 研削とよく似た加工法に、ホーン仕上げ、または、ホーニングとよばれる加工法があります。この方法は、油砥石をホーン(hone)と呼ばれる保持具に入れ、砥石に一定の圧力を加えながら、加工物との間で回転と往復運動を行わせ、これに多量の灯油や軽油などの加工液を注入して加工する方法であります。研削に比べて、その切削量は小さいのですが、仕上げ面粗さは非常によくなるので、精密な部品の研削後の仕上げに広く用いら
- 「ばり」の除去がむずかしい部品の研削には、電解研削が最適です。たとえば、研削能率は機械研削のほうがよくても、「研削かえり」または「ばり」が発生し、その除去に手数がかかるような部品の研削には電解研削のほうが有利です。 このような例として、【図1】に示すアルミニウム合金鋳物製の自動車用バルブボデーがあります。 材料は特別に難研削ではありませんが、表面に多数の複雑なみぞをもつ形状なので、
- 一般の鉄鋼材料は機械的な切削加工や研削加工が容易でありますから、電解研削を必要とすることは稀です。しかし研削焼けを起し易い高速度鋼の重研削、曲がり易い薄板やハ二カム構造製品の平面研削、砥石磨耗の大きい高バナジウム高速度鋼の研削などに対しては電解研削は大きな威力を発揮します。また電解研削は、研削によってバリがでない特徴がありますから、皮下注射針【図1】、積層材料などの研削にも有利です。
- (6)電解研削面の仕上げ面粗さ 電解研削において生じる仕上げ面粗さの生成機構を【図1】に示します。図は電極砥石と研削面の関係を示しておりますが、この図で電解研削が行われている部分は砥石の外周と加工面が接触するbの部分であります。 しかし砥石と加工物が電解液で満たされている部分はbの部分だけではなく、ノズルから供給された電解液がbの範囲に入る過程でcの部分にも溢れますし、また加工間隙を
- (5)電解研削の電極砥石 電解研削における電極砥石は、基本的には、絶縁性の砥粒を導電性の結合材で固めた構造をもっています。 この場合の砥粒としては、超硬合金またはHRC65以上の硬さをもつ鋼材に対しては、ダイヤモンドが一般に用いられます。その粒寸法は100~120メッシュの範囲が多いようです。また、導電性結合材としては、銅合金または銅含浸樹脂が多く用いられています。前者をメタルボンド砥石、
- (4)電解研削の電解液 電解研削用電解液は、主として無機酸を含む導電性の水溶液でありますが、電解加工のように加工物の表面に不動態皮膜の生成を防止する必要がありませんので、次の2つに重点がおかれます。 (1)腐食を防止する特性があること (2)高い電導度をもっていること 腐食防止剤としては、NaNO2、NaNO3、KNO2、NaCO3、Na3PO4、硼砂(Na2B4O7)などのような高い
- (1)電解研削の原理 電解加工は、金属表面の所要部分から材料を除去するのに、電解エッチング作用を利用したものでありますが、電解研削は、この電解エッチング作用にさらに、機械的な研削作用を加えたものです。 一般に金属表面から金属を電気化学的に溶出させる場合には、溶出の進行を妨害する陽極生成物が生じ、場合によっては金属表面が不動態となって溶出が全く進行しなくなります。電解加工では、この現象を防
- (2)酸溶液 各種の無機酸の水溶液は、電導度が比較的高く、また陰極反応は水素の放電が主でありますので、電極工具への電着の危険性はありません。しかし、一般に酸溶液は、腐食性が強く、取扱に不便なため、特殊の場合にしか用いられません。 また、酸溶液を用いた場合、加工の進行につれて水素の消耗により、電導度が減少し、同時にpHが増大するので、金属イオンが陰極面上に電着し易くなります。溶出して生成さ
- 電解加工用の電解液には、次の特性が要求されます。
- 8)電解微小孔加工 微小孔を加工するには、外面を絶縁した細い金属管を電極工具として実施することができますが、この方法の欠点は、外面の絶縁が難しく、また加工中に電極の先端部の絶縁が破れ易いなどであります。 そこで、この欠点を防止するものとして【図1】に示すような仮電極を用いる方法があります。仮電極は、ガラス管などの絶縁物の先端を細く絞ったもので、これがゴム管などのフレキシブルな管によって陰
- 8)静止加工 いままで述べた電解加工の応用では、すべて電極工具と加工物に間に相対的な運動があり、加工の進行に応じて電極が加工物の中へ送り込まれますが、応用形態として両者の間にこの運動がなく、電解液だけが電極工具と加工物の間を流通する場合があります。この方式を静止加工といっています。 【図1】は加工物であるシリンダーの内部に棒状の電極を入れ、電極の所要部分以外は絶縁して固
- 5)電解旋削(electrolytic turning) 旋削加工を電解作用によって行うもので、通常の旋削加工のようにバイトに切込みを与えて軸方向に送るのではなく、【図1】のように、所要の形状に成形された電極工具を回転する加工物の半径方向に中へ送りこむことによって軸対称の旋削部品を得る方法です。 この方法によりますと、電極形状を所要の形状にすることによって、倣い旋削と同
- 2)電解切抜き加工(electrolytic trepanning) 電解切抜き加工は、加工物から目的の形状をもった材料を切りだす加工で、加工方法としては孔あけ加工と同じでありますが、両者の相違は目的の加工物で、孔あけ加工の目的が加工された「孔」であるのに対して、切り抜き加工の目的は、「電極の内側に残った部分」であります。 したがって、切り抜き加工は、孔あけ加工と全く同じ装置で、電極工具
- (5)電解加工の応用 電解加工は材料の硬度、靭性に関係なく、複雑な形状を1工程で加工できるので、材料の硬度、靭性が高くて、一般の機械加工の適用が困難であり、加工形状が複雑な加工ほどそのメリットは大きくなります。 例えば、機械的な切削加工において、工具径が小さくなるほど工具の剛性が不足して、切込み量を小さくしなければなりませんので加工能率は著しく低くなります。このような加工に電解加工を適用
- (4)電解加工における電流効率と加工速度 電解加工における加工速度は、電気分解におけるファラデーの法則を用いて理論的に求めることができます。ただし、次の条件が満たされていることが必要です。
- (2)電解加工機の構成 電解加工機の一般的な構成を、【図1】に示します。図に示すように、加工物と工具に相当する電極の距離を極めて近くし(通常0.02~0.7mm)、電解液を介して、被加工物が陽極、電極工具が陰極として直流を通電します。
- フォトフォーミングにおける問題点は、めっき膜分離用の形成処理と、めっき厚さの管理であります。 分離用皮膜処理としては、酸化物皮膜、クロム酸塩皮膜、硫化物皮膜などが用いられますが、【表1】に幾つかの処理条件の例を示します。
- フォトフォーミングは、前述のフォトエッチングにおけるフォトレジストのパターン形成技法と、電鋳法(エレクトロフォーミングelectroforming)あるいは化学めっき(chemical plating)を組み合わせたものです。 この方法は、化学エッチングを利用する技術ではありませんが、レジストのパターン形成方法は全く同じものであり、フォトエッチングと同じような分野に適用されていますので紹介し
- フォトエッチングとは、感光性耐薬品皮膜(フォトレジスト)をマスキング剤として用いて行う化学的加工法で、フォトエッチング(photo-etching)またはフォトエングレービング(photo-engraving)といっております。 フォトエッチングは、加工物の全表面にフォトレジストの皮膜を形成し、別に作製した原版を通してフォトレジストを露光し、感光部分を現像液に不溶にし、未感光部分を現像液に
- 化学打抜き処理後の後処理としては、残留マスキング剤の除去、防錆処理、仕上げ検査などが含まれます。 エッチング打ち抜きによって加工された部品は、エッチングが完了した後に材料表面に残ったマスキング剤をそのままの状態で使用することは、ほとんどありません。したがって、残留マスキング剤は、なんらかの方法によって除去する必要があります。 マスキング剤には、いろいろなものがありますが、ほとんどのマス
- 化学打抜きに用いられるエッチング液(腐食液)は、金属材料や要求される加工速度などによって種々の組成と温度が用いられています。主な材料に対するエッチング液の組成とその条件の一例を【表1】に示しました。
- 化学打抜きは、主として薄板または箔に、機械的に打抜きプレスで生産されるような部品に対して適用されます。機械的プレス加工では、振動、バックラッシ、加工物の歪などにより、生産する部品が小型化するほど加工が困難になります。このような場合に、化学的打抜きが有利な解決法になります。 (1)作業工程 化学打抜きの工程は、次の4工程になります。 a)前処理 加工材料の清浄化—脱脂、酸洗、研磨など