「ばり」の除去がむずかしい部品の研削には、電解研削が最適です。たとえば、研削能率は機械研削のほうがよくても、「研削かえり」または「ばり」が発生し、その除去に手数がかかるような部品の研削には電解研削のほうが有利です。
このような例として、【図1】に示すアルミニウム合金鋳物製の自動車用バルブボデーがあります。
材料は特別に難研削ではありませんが、表面に多数の複雑なみぞをもつ形状なので、機械研削によってみぞ部に生じる研削かえりやばりを除去するのに、多くの手間と時間がかかります。
これを電解研削すると研削能率はかなり低下しますが、ばりやかえりが殆ど発生しないので総合的にはかなりの効果があります。
ハニカムの端面の研削についても全く同様で、機械研削するとハニカムの蜂の巣状の部分にばりを生じてハニカムの機能を失ってしまします。これに電解研削を適用すると、このようなことがなく、著しい効果があります。
また、製品が薄くて研削しろが比較的大きい場合、通常の機械研削では切込み量を小さくして加工物を表裏に返しながら研削しないと加工物に曲がりを生じますが、電解研削ではこのような欠点が少ないのが特徴です。
例えばゲージプレート(特殊工具鋼製)は製品の厚さが0.5mmで、研削しろが0.3mmもあり、機械研削では50枚/日程度の能率しかあげられなかったが、電解研削によって300枚/日に能率をあげることができました。
【図2】に示す編み機用針もこの適用例で、加工条件は、部品材質SK5、硬さHRC40、テーブル1チャック数200個、切込み深さ0.7mm、電流75A、1個当りの加工時間0.8秒、加工精度±0.01mmであります。