8)電解微小孔加工
微小孔を加工するには、外面を絶縁した細い金属管を電極工具として実施することができますが、この方法の欠点は、外面の絶縁が難しく、また加工中に電極の先端部の絶縁が破れ易いなどであります。
そこで、この欠点を防止するものとして【図1】に示すような仮電極を用いる方法があります。仮電極は、ガラス管などの絶縁物の先端を細く絞ったもので、これがゴム管などのフレキシブルな管によって陰極室につながっています。
陰極室には、電解液中に実電極(金属の棒または板)が浸漬されています。陰極室に約1気圧の圧力を加え、細いチップ(約数μm)をもった仮電極に電解液を充満させるとともにチップを通して電解液のゆるやかな流れを発生させるようにします。
このようにしてチップを加工物にできるだけ接近させて通電すると、電解エッチングは加工物面上のチップに近傍だけで起こるので、エッチングの進行に応じてチップを加工物中へ進ませると微小孔あけができます。
この場合、一定の電流に対しては一定時間内に一定量の材料が除去されるので、チップが一様な速度で送られると、一定直径の孔があけられます。
9)電解転写
この方法は、回転ドラムの表面上のパターンを電解エッチングによって平板試料上に転写する加工法で、プリント回路などの作製に応用することができます。
この方法は、最初にフォトエッチングなどによって所要のパターンをもった金属板を作製し、その凹部をエポキシ樹脂などの絶縁物で埋めます。これを回転ドラムに固定し、これに対して材料はドラムの下を往復運動するスライドテーブル上に固定します。両者の間を0.15mmにしてそこに電解液を流しながら、直流電流を通電し、ドラムの回転とテーブルの送り速度を同期させると、ドラム上のパターンはそのまま材料上に転写されます。
電解液は、材料の表面を流れ、電解生成物を運んで下の収集タンクに集められ、イオン交換樹脂によって溶解金属を除去したのち、貯蔵タンクに入り循環して使用されます。