化学打抜き処理後の後処理としては、残留マスキング剤の除去、防錆処理、仕上げ検査などが含まれます。
エッチング打ち抜きによって加工された部品は、エッチングが完了した後に材料表面に残ったマスキング剤をそのままの状態で使用することは、ほとんどありません。したがって、残留マスキング剤は、なんらかの方法によって除去する必要があります。
マスキング剤には、いろいろなものがありますが、ほとんどのマスキング剤には、専用の剥離剤が指定されていますので、それらを使用するか、トリクレン、キシレン、ベンゼンなどの有機溶剤の中に浸漬して剥離します。
また、マスキング剤は、一般にアルカリに弱く、とくにフォトレジスト(光を当てて所望のパターンをつくる際に用いるマスキング剤)は、この性質が著しいので、この場合には、加熱した10〜30%のか性ソーダ溶液に浸漬して剥離します。ただこの方法は、材料がアルミニウムのようにアルカリに溶解されるものは、使用することはできません。
このように液中に浸漬しておくだけで、マスキングが容易に剥離する場合はよいのですが、きれいに剥がれない場合には、液中へ浸漬したあとでガーゼ、ブラシなどを用いてこすり取る方法を用います。大量生産の場合には、剥離液をノズルからスプレーして、マスキング膜に吹き付けて剥離する装置が用いられています。
マスキング膜を除去し終わったら、水洗し乾燥しますが、必要があればこの後、防錆処理を施します。最後に、寸法、形状、ピンホール、孔つまりなどについて検査を行い完成です。
エッチングにおける注意点は、サイドエッチです。エッチングは、材料表面に垂直方向に進むと同時に横方向にも進行します。横方向への腐食距離をサイドエッチ(s)side-etchまたは、アンダーカットunder-cutと呼びます。エッチングの断面形状を【図1】に示しましたが、サイドエッチ(s=(w2-w1)/2)の大きさは、加工深さ(d)の増大とともに大きくなります。
サイドエッチは金属の種類、エッチング液の組成、エッチング条件などによって異なります。エッチングの対象が極めて薄い場合(例えば数μmなど)には殆ど問題になりませんが、比較的厚い場合には重要な問題となります。
サイドエッチを小さくするためには、先ず、それに適合したエッチング液の選択が重要です。腐食抑制剤を添加した液などが用いられます。次に、エッチングの方法によっても異なりますので、スプレー式やバドル式によって材料面に直角にエッチング液を吹きつける場合には、側面よりも底面での液の攪拌が激しくなり、浸漬式よりも側面の腐食は小さくなります。