この方法の特徴は、方向性のある荒れ面を比較的自由につくることが出来ることです。ペーパーとはサンドペーパーのことです。昔は文字通り紙の上に研削用の砥粒を固着したものでしたが、現在では布が使われています。しかもエンドレスのペーパーベルト(環状)が多用されています。簡単な使用例を【図1】に示しました。また、多様な使用例を【図2】に示します。
【図1】は、通常のバフレースにコンタクトホイール(張り輪)を装着して、これを研削面とした使用法で最も基本的なものです。右の図は、これを縦型して、研削面に送りベルトを装備した簡単な半自動研削装置です。
【図2】は、ペーパーベルトの多様な使用法を示しております。図中のセンタレスとしての使用法は、簡単な調整輪を用意することで、円筒形の丸棒やパイプ状の品物を容易に自動研磨できます。また、可変ベルトとしての使用法は、通常の研磨法では困難な品物の内側を容易に研磨することが可能になります。
ペーパーベルトは市販品を購入しますが、ペーパーを自家製することもできます。布バフに蜜なミシン目を入れ腰を強くしたものを、所定の厚さに重ねて固着して、ペーパーバフをつくります。これをバフレースに装着して芯出し(重心を安定させる)を行い、円周面に膠(ニカワ)水溶液を接着剤として塗り、各種番手の砥粒を固着させて完成します。このようなペーパーバフは、ペーパーベルトの出現する前には研磨の主流でありました。
ペーパー仕上げによる表面調整には摩擦による発熱を伴います。温度が高まると素材表面に熱による悪影響を与えます。そのために研磨剤を併用します。後述しますバフ研磨用の研磨剤も使用可能ですが、油性研磨剤の油脂による摩擦低下、冷却効果をねらうものです。