この方法は、金属製のブラシを素地表面に押しつけて移動させ、方向性のあるスジをつくるもので、これをヘアーライン仕上げと呼んでいます。
ブラシ仕上げの小規模なものは、市販の金属ブラシを使いますが、これより少し規模が大きくなると幅の広いブラシを用いて、ワークの上をブラシが移動するか、ブラシの下をワークが移動する半自動式のものが使用されます。
また別のブラシの形態として、ブラシを構成する金属線を放射状にしたホイールブラシがあります。これはペーパーバフのようにバフ研磨機に装着して回転して方向性のあるスジをつけることができます。ホイールブラシの種類と仕上げの程度を表1に示しました。
【表1】ブラシの種類と仕上げの程度
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ホイールブラシの直径はいろいろなものがありますので、用途に応じて使い分けます。また、金属線を折り曲げて鋼板で適当量を固定したものもあります。これをバフ研磨機にかけると、金属線の長さによって効果が違ってきます。
一般に金属線が長くなり、かつ周速が速くなると点のように作用し、周速が遅くなると引っかき線となります。ホイールブラシは、金属線の先端の切れ味が問題になるので、時々軽石、レンガなどを回転するホイールブラシに押し付けて、堆積した酸化物や金属粉を除去します。
ブラシ仕上げの注意点は、ワークがアルミニウムのような柔らかい金属の場合、金属線の破片や粉体がワークに食い込むことです。このままで陽極酸化処理や化成処理を施すと部分的に黒ずんだ皮膜になり欠陥製品になるので、これらを除去する前処理が必要です。
【図1】に、ヘアライン仕上げ、【図2】にスクラッチ仕上げを示します。