表面処理を施す場合、下地の整え方によって反射する光の量、質、方向などが違うために、同じ表面処理をしても見た感じが異なってきます。
殆どの金属製品の表面は、素地の組織の粗密、不均質、凹凸、表皮の中にすり込まれた汚れなど、多くの欠陥をもっています。このような状態で表面処理を施しても、商品として求められる装飾的な感覚を与えることはできません。そこで、本格的な表面処理を施す前に機械的研磨操作によって表面に細かい形状を整えることが必要です。このような処理を、素材の「表面調整」といっています。
素材表面に求められる表面状態は、その製品の使用目的により、様々なものが求められます。あるものはピカピカに光を反射する鏡面光沢であったり、一定方向にスジの走るヒアラインであったり、光が乱反射する梨地面であったりします。また、与えられた素材表面の粗さが、最終的に求められる状態との間に大きな差異がある場合には、数段階の研磨工程を経て最終表面状態とします。
各種の表面状態を表現する手段として通常、表面粗さが使われます。研磨法には、乾式ブラスト法、液体ブラスト法、ペーパー研磨法、ブラッシング、スチールウール法、バフ研磨、切削などの方法があります。これらの方法によって、それぞれ出現する感じや粗さが違いますので、【図1】にそれらの一覧を示しました。 図によって、研磨方法とそれによって得られる表面粗さが分かります。