ケミカルミーリングは、化学研削(chemical contour machining)ともいわれ、化学エッチングを利用して、機械的研削と同じように、金属を研削成形しようとする方法です。この場合、貫通エッチングと異なり、エッチングの深さを材料厚さの一部分に止め、全体として3次元の形状を作りだすことが特徴です。
ケミカルミーリングの工程は、一般的には、【図1】のように行われています。工程は前処理、マスキング、エッチング、後処理の4工程からなります。
材料の全面をエッチングにより研削する場合には、マスキングの操作は不要で、直ちにエッチング工程に入りますが、段付け加工では、最初のエッチングの後、さらに別の部分のマスキング材を剥離して再びエッチングします。必要に応じて、これを繰り返します。
(1)マスキング
ケミカルミーリングにおけるマスキングの方法としては、(1)フォトレジストによる方法、(2)スクリーニングまたはオフセット印刷、(3)けがき-剥離法、(4)機械的マスキングなどがあります。
フォトレジストによる方法は、前述のように、レジストパターンは極めて繊細で高精度でありますが、レジスト膜が薄く、強アルカリや酸化性の強いエッチング液に対しては化学的抵抗が小さく、加工深さが極めて浅い場合のほかは殆ど用いられません。
スクリーニングは、スクリーン印刷の技法によるもので、スクリーンとしてはナイロン、ポリエステルなどの化学繊維やステンレスなど金属の細糸でつくられたスクリーン(網)が使われ、スクリーン上に所要のパターンを反転した画像を形成し、画像のない部分へスクリーンを通して耐食性のインキをゴムローラーなどで圧入して材料表面にインキのパターンを作ります。
けがき-剥離法は、まずマスキング材を材料全面に形成し、その上に型板(template所要の形状をくり抜いた薄板)を密着させ、加工部分の境界線に沿って鋭い刃物でマスキング材を切り、加工すべき部分を剥離して露出させる方法です。
機械的マスキングは、マスキング板といわれるゴム板のような柔軟性と耐食性のある型板を材料に機械的に密着し固定して、非加工部分を保護する方法ですが、この方法は、その機構から単純なパターンしか加工できません。
以上4つの方法のうち、精度や再現性、加工速度、経済性などから選択されます。