これから、各種の表面調整法について、具体的に説明しましょう。
先ず、ブラスト法は、研削材を素材表面に吹き付け、または投げつけて研削する方法でありますが、ブラスト法には、空気中で研削材を吹き付ける乾式法と、研削材を含む液体媒体を使用する湿式法があります。いずれも無方向性の切削面が得られます。
これらの場合に使用する研削材としては、砂(けい砂、アルミナ砂など)ショット、グリット(鋼などの破砕片)、鉄粉(還元鉄粉)、カットワイヤー(鋼線を切断したもの)、ハイハードスチールショットなどが用いられます。
乾式ブラスト法のシステムの一例を【図1】に示しました。
製品を加工室に入れ、ガンの先端から金属表面までを適当な距離を保ちながら、研削材を吹き付けます。仕事を終了した研削材は、サイクロンに送られ、再利用可能なものは再び使われます。また、破壊されて粉になったもの、被加工物から削り取られた粉末などはバッグフィルターで捕捉されます。 このように加工室は鋼板製の密閉した部屋になっており、ガンは普通固定されています。正面にガラス窓とゴム手袋穴が2つあり、作業者は、手袋に手を入れて製品を持ちながらフートバルブを操作して作業を行います。
乾式法にはこのように、圧縮空気のエネルギーを使ってガンから研削材を噴射するほかに、プレート式の風車のようなブレードを使って研削材を投げつける方法もあります。加工室に入らないような大型製品の加工には、この方法が採用されています。
湿式法は、乾式法よりも軽度の切削が目的で、液体として水に界面活性剤など防錆、清浄剤、光沢剤などを添加したものを使用し、これにアルミナ粉、ケイ石粉などを浮遊させて使用します。液体の噴射には圧縮空気を用います。