(2)エッチングの加工形態による分類
ケミカルミーリングにおけるエッチングは、主として浸漬法が用いられますが、小さい加工物については、スプレー法も用いられます。スプレー法は、大型製品には設備的に制約があることや、加工の均一性を得ることが困難であるからです。エッチング液は、化学打抜きと同様なもの(前述)が使用されます。
ケミカルミーリングにおける加工形態を【図1】に示しますが、次のように分類できます。
(a)全面加工、(b)部分加工、(c)段付き加工、(d)テーパー加工です。点線は加工前、実線が加工後の断面を表しています。
全面加工は、全体の寸法を一様に減少する場合、または全体の重量を減少させる場合のエッチングに相当し、鍛造品や鋳造品によく適用されます。この場合にはマスキングは不要ですから、作業は簡単です。
部分加工は、機械的な通常のミーリング加工に相当するものですが、ケミカルミーリングでは加工物の同一面上に多段の独立した露出面をつくり、それらを一回のエッチングで同時に加工することができます。これを群ミーリング、集団ミーリングといいます。
段付き加工(step milling)は、ある部分が所定の深さにエッチングされた後、材料を引き上げ、他の部分のマスキングを剥離して、さらにエッチングするという繰り返しによって実施されます。段付き加工の進行状況を【図2】に示します。
テーパー加工は、一定の遅い速度で材料を液中へ徐々に浸漬したり、または液中より引き上げたりすることによって実施されます。浸漬したり、引き上げる速度を種々変化することによって、直線テーパーだけでなく、曲線テーパーも加工することができます。実際にはこれら加工方法が種々組み合わされて、複雑な形状の加工が実施されています。