プレス機械には金型の取り付け可能な最大高さがあります。この最大高さを超えると、どのようにしても金型をプレス機械に取り付けることはできません。この高さの表現には2つがあります。ダイハイトとシャットハイトです。
【図1】で説明します。どちらもスライドは下死点位置で、スライド調節ねじは、上限まで上げた状態のときのスライド下面からボルスタプレート面までの距離を「ダイハイト」と呼びます。「シャットハイト」はプレス機械からボルスタプレートを外して、プレス機械のボルスタプレートが乗っていた面、この面をベッド面と呼びますが、このベッド面からスライド下面までの距離をシャットハイトと呼びます。
この2つを同じものと混同して使っていると思われることが時折ありますが、実は違う内容を示していることを理解してください。しかし、最近ではボルスタプレートをプレス機械から外すことはほとんどないので、同じ意味合いで2つの言葉を使用しても困ることは起きないと思います。
ではなぜシャットハイトがあるかというと、昔はプレス機械を裕福に保有することが難しい時代がありました。このような時代では、用途に合わせてボルスタプレートを交換して使用したのです。例えば、抜き加工を行うときには、抜いたものをボルスタの穴を通して下に落とした方が作業しやすいため、ボルスタプレート中央に穴の開いたものを使用します。圧縮加工ではしっかりと下型を受けたいので、ボルスタプレートに穴のないものを使用する等の使い分けをしたのです。
参考に、取り付け可能な最大高さ以下の金型の取り付けでは、スライド調節ねじの範囲内であれば、容易に金型の取り付けはできます。スライド調節ねじの範囲を超えた低い高さの金型では、スペーサー(一般にゲタと呼ばれるブロック)を使って高さを調節します。金型をプレス機械に取り付ける作業を「金型段取り」と呼びますが、この取り時間の左右する大きな要素がもの高さ調整にあります。金型の取り付け高さは、できるだけ統一するようにします。