パンチ(Punch)は材料に押しつけて使われる工具です。通常はダイと対で使われ、材料に形状を転写します。
パンチはいろいろな呼び方があります。ポンチ、雄型(おすがた、おがた)、穴抜きパンチを現す言葉として、針、ピン、矢があり、絞り用のパンチの呼び方として「ぼうず」などがあります。最近ではパンチ、ポンチ、雄型に集約されてきています。日本金属プレス工業協会で標準用語を決めました(四半世紀ほど前です)。そのときにパンチを標準用語としました。しかし、使い慣れた言葉は根強く「ポンチ」「雄型」は健在です。用語は肌にあったものが馴染んでいて使いやすいです。理解して使っていれば問題ないと思います。
この用語は「目的語」+「パンチ」の組合せで通常は使われます。例えば、外形抜きパンチ、曲げパンチ、絞りパンチといった使い方です。このように用途を示す使い方と、ストレートパンチ、段付きパンチといたパンチの形状を示す使い方もあります。
少し分かりにくくなるのが、総抜き加工や抜き絞り加工といった複合加工の中に使われるパンチの呼び方です。このような複合加工ではブランク加工のパンチの内側に、総抜き加工では穴抜きのダイが作られます。抜き絞り加工では絞りダイが作られます。
外形抜きのパンチと表現すべきなのか、穴抜きや絞りのダイと表現すべきなのか迷うことがあります。一般的な表現としては「複合パンチ」となります。個々の表現では総抜き加工の場合であれば「総抜きパンチ」、抜き絞りであれば「抜き絞りパンチ」と表現することで分かりやすくなります。同様なニュアンスのものとして、切り込み(スリット、ランシング)と、曲げを行う「切り曲げパンチ」や、穴抜きとバーリングを行う「穴抜きバーリングパンチ」などがあります。