プラスチック射出成形金型の設計において、最も重要な事項に成形収縮率があります。
成形収縮率αは、次式で表現することができます。
α=(L0-L)/L0
- α
- :成形収縮率(単位なし)
- L0
- :金型寸法(mm)
- L
- :成形品寸法(mm)
一方、実際には溶融プラスチックは、冷却する際に体積が収縮するので、体積収縮率という考え方を取り入れると、次式のような表現が可能になります。
αv=(V0-V1)/V0
- αv
- :体積収縮率(単位なし)
- V0
- :金型キャビティの体積(mm3)
- V1
- :成形品の体積(mm3)
ここで、体積V0 および V1を立方体として考えれば、立方体の各辺の長さLは、次式で表されます。
L0=3√V0 L1=3√V1
したがって、
αv=(V0-V1)/V0
=1-(V1/V0)1/3
=1-(v1/v0)1/3
- v1
- :常温下での比容積(mm3/g)
- V0
- :成形条件下での比容積(mm33/g)
さらに、溶融プラスチックの状態方程式は、次式で表されることが知られています。
(P+πi)(v-ω)=R'T
- v
- :溶融プラスチックの比容積(mm3/g)
- πi
- :内部圧力(atm)
- ω
- :絶対0度における比容積(mm3/g)
- R
- :R/M(修正ガス定数 atm mm3/g・mol)
- M
- :分子活動単位の分子量
上式にαv=1-(v1/v0)1/3を代入すると、
α=1-3√y
=(1-y)/3+(1-y)2/9
y=v0(P+πi)/R'T+ω(P+πi)
となります。
これより、成形収縮率αは、圧力Pや溶融プラスチック温度Tが大いに関連していることが理論式よりも裏付けられます。
- ※参考文献
- :門間改三,大学基礎機械材料,実教出版(株)