原料管理は「利益」に直結する大事な業務である。適切な原料管理を怠ると利益を引き下げる原因となる。原料管理の際に注意したい5つの基礎ポイントを解説する。
まず初めに 成形品の販売価格
原料管理の前に、まずは成形品の販売価格について解説する。
製造した成形品の販売価格は、事前の見積もりであらかじめ決まっている。その販売価格の内訳のイメージは以下の通りとなり、原料費・人件費・電気代・利益などが決まっている。
原料費が増えると利益が減る
成形品の販売価格は決まっているので、1個あたりの利益も決まっている。ところが、トラブルなどが発生し、原料が余分に必要となった場合、以下のように利益が圧迫されてしまう。
原料管理で注意すべき5つのポイント
(1) 取り扱いは慎重に
原料は高価なので、原料袋を角にぶつけたり強い衝撃を与えて破袋させてしまうと、損失額は甚大である。重い原料袋を扱う重労働を繰り返すと、気づかないうちに作業が雑になってしまうことがある。休憩を定期的に取ったり、重労働が重ならないような工程にするなどの工夫をしよう。
(2) 適切な段取り(予備乾燥)
予備乾燥が必要な原料は、生産計画を確認し、適量を用意しよう。例えばPC(ポリカーボネート)では予備乾燥に4時間程かかるが、原料の乾燥を待ってから再稼働する場合には、パージや廃棄ショットが必要となるため、生産予定も狂ってしまいデメリットが大きくなる。
(3) 原料を投入し過ぎない
生産計画に沿って生産予定・残数を計算し、原料の投入し過ぎに注意をしよう。
乾燥機・ブレンドタンクの容量を計算し、成形予定・残数に必要な原料を計算しよう。
(例)成形予定・残数に必要な原料の計算方法
成形予定・残数が1,000個、成形品重量50gの場合、
成形予定・残数1,000(個)×成形品重量50(g)=50kgとなる
乾燥器・ブレンドタンクに投入されている原料を確認し、原料を投入し過ぎないように、「原料投入停止」などの表示をしよう。
(4) 粉砕リターン
見積もりの段階で、スプール・ランナーが粉砕リターン可能かどうか決まっている。粉砕リターン可能な成形品は、スプール・ランナーを廃棄することなく使おう。
(5) 破袋時の対応
慎重に扱っていても、トラブルは起きるものである。破袋させてしまった時の対応で重要なポイントは、二次被害防止である。破袋の程度にもよるが、床に落ちてしまい使えない原料と復旧できる原料とをしっかり仕分けよう。ここでの仕分けが不十分であると、ゴミが混入し、成形した際に成形品に混練されてしまうので注意が必要となる。