射出成形現場で求められる生産管理の基礎知識として、出来高・売上・成形加工費の計算方法を計算例を交えながら解説していく。
まず初めに 生産管理とは?
生産管理とは、お客さまからの注文を、納期に間に合うように製造・調整することである。
射出成形における生産管理の主な業務は以下の通りとなる。
- 受注
- 材料や資材の仕入れ
- 生産計画
- 生産指示
- 出来高確認
- 納期に間に合うように出荷指示を出す など
お客さまとの日程調整や、予定と出来高を追う業務である。
製造中にトラブルが発生した場合には、合格品を必要個数、納期に間に合わせるために、材料の残り量や不良率を加味して生産しなくてはならない。また、他部門へのアナウンスや納期調整も必要となる。
出来高の計算
まずは製品が何個生産でき、いくら売上をあげているか計算してみよう。
例)
- 1サイクル:30 秒
- 取数:2個/shot
考え方)
1日を秒数に変換し、1サイクルで割ることで、ショット数(shot/日)を導き出し、取数(個/shot)をかける。
※1日を秒数に変換=60(秒)×60(分)×24(時間)=86,400秒
計算式)
出来高(個/日)=86,400(秒)÷30(秒)×2(個/shot)=5,760個となる。
実際は、異常停止や金型メンテナンスなどがあるので、98%程度を想定しよう。
出来高(個/日)=5,760(個/日)×98%=5,644個となる。
売上の計算
例)
- 1サイクル:30 秒
- 取数:2個/shot
- 製品単価:15円/個
考え方)出来高(個/日)に製品単価(円/個)をかける
計算式)売上(円/日)=5,760(個/日)×15(円/個)=86,400円となる。
成形加工費(時間チャージ)の計算
※成形加工費(時間チャージ)=1時間あたりの売上から原料費を引いた金額
例)
- 1サイクル:30 秒
- 取数:2個/shot
- 製品単価:15円/個
- 原料単価:200円/kg
- 製品重量:30g/個
(1)1時間あたりの売上
出来高(円/日)を24時間で割る。
1時間当たりの売上(円/時間)=86,400(円/日)÷24=3,600(円/時間)
(2)1 時間当たり原料費
考え方)まず、製品1個の原料費(円/個)を求める
※製品1個の原料費は、原料単価(円/kg)をg単位に変換し、製品重量(g/個)にかける
計算式)製品1個の原料費(円/個)=0.2(円/g)×30(g)=6円/個
考え方)次に、1時間あたりの生産数(個/時間)、原料費(円/時間)を求める
計算式)1時間当たりの生産数(個/時間)=3,600(秒)÷30(秒)×2(個)=240個
※1時間を秒数に変換=60(秒)×60(分)=3,600秒
1時間当たりの原料費(円/時間)=240(個/時間)×6(円/個)=1,440円/時間
(3) 1時間あたりの売上-1 時間当たり原料費=成形加工費(時間チャージ)
3,600円 ― 1,440円 = 2,160
(1時間あたりの売上) (1 時間当たり原料費)= (成形加工費(時間チャージ))
成形加工費(時間チャージ)は、2,160円となる。