インサート成形法は、インサート(金属部品等の挿入物のこと)を金型が開いている間にキャビティに装着し、その後金型を閉じて射出成形する方法です。
真鍮製のねじやシャフトをインサート成形したハウジングや、金属端子や接点をインサート成形した電子部品などの射出成形に使用されています。
インサートは、ばらばらの個別部品として機械加工しておいたものを、手作業やロボットによってキャビティに装着する方法が最も単純な方法です。(【図1】)
大量の部品を効率的に生産するためには、金属フープにプレス順送金型であらかじめ形状加工をしておいたものを、キャビティ内に自動送りをして、連続成形する方法も考案されています。(【図2】)
インサート成形法は、金属加工された部品とプラスチックのコンビネーションによる成形品を生産する手法であるため、熱膨張率や熱伝達率、強度など異なる性質の物質どうしを組み合わせるために、試行錯誤しながらノウハウを蓄積することが必要になります。
プレス加工の精度や能力も十分に理解をしておかないと、上手な射出成形金型の設計は難しいでしょう。
インサート成形法は、精密電子部品や自動車部品で優れた品質の成形品を低コストで生産できて、しかも付加価値の高い成形法です。その代わりに高い技術力がないと、安定した量産加工がままなりません。
日本の精密インサート成形技術や金型製作技術は、世界でもトップレベルにあると言えるでしょう。
インサート成形を実用化するためには、プレス金型の設計製作技術の優れた点、例えば位置決め技術や金型部品加工技術等を、プラスチック金型設計技術に柔軟に取り入れる姿勢が一つのポイントになります。