[2024/6/12公開]
Question
エンドミルとは何ですか
エンドミルとは何ですか。ドリルやリーマとの違いは何ですか。
Answer
エンドミルとは、マシニングセンタやフライス盤などの工作機械に取り付け、回転させて金属や硬質樹脂などをさまざまな形状に加工する切削工具です。
エンドミルは外周と端面に切れ刃がありさまざまな方向に加工を進めることができるので、平面・側面・曲面・傾斜面など多様な形状の加工が可能です。エンドミルの名前の由縁は、工具の端面(エンド)でも細断加工(ミル)ができるということからきています。
エンドミルに類似した切削工具にドリルがありますが、ドリルは先端にしか刃が無いため穴加工しかできません。またリーマは外周だけにしか刃が無いため、穴を仕上げる加工しかできません。
エンドミルの基本構造・分類・選定方法・使い方を以下に記載していますのでご参照ください。
(1)基本構造
エンドミルは底刃、外周刃、シャンク(柄)からなります。刃とシャンクのつなぎ部分で刃径より細い部位をネックと呼びます。
(2)分類(母材・刃先形状・ネック形状)
多くのエンドミルは、母材に超硬またはハイスが使用されています。
超硬は高硬度・高耐熱なので熱処理した硬い鋼なども切削することが可能です。表面にコーティングを施した超硬エンドミルはより耐摩耗性能が向上しています。
ハイスは高硬度鋼の加工には適していませんが、靭性があるため欠けにくく熱処理のしていない鋼やアルミなどの非鉄金属の加工に向いています。
その他、サーメット・セラミック・CBN・ダイヤモンドなどの材質もあります。
母材とコーティングの詳細は以下の技術情報をご参照ください。
エンドミルの刃先形状はスクエア・ボール・ラジアスに分類されます。
スクエアは側面・溝・平面加工に適しています。ボールエンドミルは曲面加工に適しています。ラジアスエンドミルはスミR加工・曲面・平面加工に適しています。
また、外周刃が傾斜していて傾斜壁面の加工に適したテーパエンドミルもあります。
その他、ネック形状に特長があるものとして、深い位置の加工に適したロングネック、抜き勾配のある金型加工に適したテーパネックがあります。
(3)選定方法
エンドミルの選定はまず加工する形状からスクエア・ボール・ラジアスなどの刃先形状ごとのカテゴリを選びます。その中から適用被削材・刃径・コーナR・刃長・首下長などを加工目的に合わせ選定します。
その他、効率的な加工を行うために刃数やねじれ角など必要に応じて選定します。刃径・刃長・ネック長などの選定には、加工時に振動が起こらないよう必要以上に細すぎず長すぎないことがポイントです。
詳細の選定方法は以下の技術情報をご参照ください。
(4)使い方
エンドミルの経路設定により加工品質、加工時間、工具寿命が変わります。ツールパスの手法、アップカットダウンカットなど適切な知識が必要となります。
また、切削速度・送り速度・切込み量などの切削条件の設定も重要です。切削条件が適していないとエンドミルが早く劣化したりします。
エンドミルの切削条件表を参考にするのが基本ですが、耐熱性の高い超硬エンドミルでは、切込み量を少なく切削速度と送り速度を速くすることが、工具の寿命を延ばすポイントです。
加工方法と切削条件についての詳細は以下の技術情報をご参照ください。
(5)保守
エンドミルは使い捨てではなく、摩耗した場合再研磨することで再生可能です。
再研磨サービスの詳細は以下のページをご参照ください。