[2024/05/02公開]
Question
自由指定直刃エンドミルで、見た目が同じエンドミルの違いを教えて
自由指定超硬直刃スクエアエンドミルで、見た目が同じSEMやBSC、SRMなどがありますが、何が違うのか教えてもらえますか?
Answer
SEM、BSC、SRMは全てスクエア形状のエンドミルですが、刃の付け方がそれぞれ違い、適した加工が異なります。
SEMは側面・溝加工用で、BSCはボス穴加工用、SRMはバックテーパ付のスクエアエンドミルです。同じスクエア形状ですが、刃の付け方がそれぞれ異なりますので適した加工用途が異なります。スクエア形状を例に類似品の違いと、その他お問い合わせが多い用語などの説明を以下に記載していますのでご参照ください。
【類似形状品の違い】
(1) SEMとLS-SEMの違い
SEMは標準のスクエアエンドミルで、LS-SEMはロングシャンクで全長が長くなっています
ロングシャンクの主な用途はポケット加工などの深い位置での加工用となります
(2) SEMとBSCの違い
BSCはボス穴加工用で、丸ランドを残しております
主な用途は面粗度を仕上げたい加工ですが、切削抵抗が大きいので切込みは小さくするなどの切削条件を落とす必要があります
(3) SEMとSRMの違い
SRMは側刃に0.2/100のバックテーパが付いています
主な用途は深い加工などで切削抵抗を下げたい場合や、側面加工でエンドミルがたわむ場合にたわみ量を見込んだ加工などにも使います
(4) SEMとSZEMの違い
SZEMは側刃とシャンクの間のつなぎ径が細い首逃がしを施しています
主な用途は深い側面加工などで切削抵抗を下げたい場合に使います
例)スクエア加工用の類似形状と型番
形状 | 型番 |
---|---|
側面・溝加工用 | SEM |
側面・溝加工用 ロングシャンク | LS-SEM |
ボス穴加工用 | BSC |
ボス穴加工用 ロングシャンク | LS-BSC |
バックテーパ付 側面・溝加工用 | SRM |
バックテーパ付 側面・溝加工用 ロングシャンク | LS-SRM |
バックテーパ付 ボス穴加工用 | BSRM |
バックテーパ付 ボス穴加工用 ロングシャンク | LS-BSRM |
首逃がし 側面・溝加工用 | SZEM |
首逃がし 側面・溝加工用 ロングシャンク | LS-SZEM |
首逃がし ボス穴加工用 | BSZEM |
首逃がし ボス穴加工用 ロングシャンク | LS-BSZEM |
【その他の類似形状品の違い】
(5) ボールSBEMと高精度ボールSHBEMの違い
Rの公差がSBEMは±0.02で、SHBEMは±0.005です
(6) ボールSBEMとラージボールSLBEMの違い
SLBEMのRサイズは刃径D/2より大きく、円弧は刃径で止まっています
【問い合わせが多い用語】
(1) 寸法表示の仮想点
超硬直刃テーパコーナーアングルエンドミルなどの刃径は仮想点となります
側刃の延長線と底刃の延長線の交点(仮想点)を刃径としています
(2) 角度指示の度と分
テーパエンドミルなどの角度は ° (度)と ′ (分)に分けて指定します
例えば1.5°のテーパ片角をEカタログで指定したい場合、1°(=1度)と30′(=0.5度×60)に分けて入力します
(3) 角度指示の片角と両角の違い
テーパエンドミルは片角指定で、V溝/面取り加工用エンドミルは両角指定をします
(4) 底刃の中ベコとフラットの違い
中ベコは底刃にすかし角 1°30′(=1.5°)をつけて、切削抵抗を少なくしています
フラットの底刃は逃がしていませんので座繰りなどに使用します
(5) コートオプションのTS、AC、DC、CNの違い
各コートの適用被削材を下表に記載していますのでご参照ください
コート記号 | コート種 | 適用被削材 |
---|---|---|
TS | TSコート | SUS、高硬度鋼 |
AC | XALコート | 一般鋼~調質鋼 |
DC | DLCコート | アルミ |
CN | CrNコート | 銅 |