プラスチック射出成形加工を行う際には、クリーンルームで行うことが適切である場合があります。
空気中には、無数の浮遊物、ダスト、かびの胞子、花粉等が舞っています。プラスチック成形品の表面には、静電気が発生しやすいために、現実的にはこれらの浮遊物が吸着しています。
一般の成形品では、これらの目に見えないレベルの浮遊物の付着は品質管理上は特に問題視されませんが、医療用具、食品容器、電子部品、光学部品などではこれらの管理を十分に行わないとならない成形品も登場してきています。
クリーンルームは、このような成形品を加工するためには必須の設備です。
クリーンルームと言っても、その機能や能力でたくさんの種類があります。
室内の清浄度クラスは、規格で規定されております。
「クラス1000」という形で表示されているのは、[Federal Standard 209D(1988年)]という米国の連邦政府規格です。
ちなみに「クラス1000」という意味は、1立方フィートの体積中に0.5ミクロンの浮遊物が1000個以下で、かつ5ミクロン以上が10個以下の清浄度であることを意味しています。
日本では、JIS B 9920で規定されています。
また、ISOではISO 14644−1「空気清浄度のクラス分け」、ISO−14644−2「試験及びモニター手法」で規定されています。
クリーンルームの設備、維持管理には結構な費用がかかりますが、付加価値の高い成形品を加工するためには、これらの費用を償却する方式でコスト計算を行い、設備投資をすることが必要になる場合があります。
クリーンルーム中における浮遊微粒子の濃度測定方法及びクリーンルームの空気清浄度の評価方法
(1)適用範囲
この規格は、クリーンルーム中の浮遊微粒子の濃度測定方法及びクリーンルームの空気清浄度(以下、清浄度という。)の評価方法について規定する。
(2)用語の意味
この規格で用いる主な用語の意味は、JIS Z 8122(コンタミネーションコントロール用語)、JIS Z 8103(計測用語)及びJIS B 9921(光散乱式自動粒子計数機)によるほか、次による。
- 清浄度クラス
清浄度を粒径別の粒子濃度の程度によって分けた等級。1m3の空気中に含まれる粒径0.01μm以上の微粒子数を10のべき乗で表したべき指数であらわす。 - 上限濃度
清浄度クラスを規定する清浄度クラス及び粒径別に定められた粒子濃度の上限値。 - 清浄度クラス粒径範囲
清浄度クラスごとに定められた清浄度の評価対象となる微粒子の粒径範囲。
(3)クリーンルームの清浄度クラス
クリーンルームの清浄度は、清浄度クラスによって表し、原則として施工完了時のクリーンルームの清浄度を表す。製造装置設置時及び通常運転時のクリーンルームについても、状態を明記することによって準用することができる。
清浄度クラスは清浄度クラスで表し、クラス1、クラス2、クラス3、クラス4、クラス5、クラス6、クラス7、クラス8と表記する。各清浄度クラスの対象とする粒径範囲及び上限濃度を【表1】及び【図1】に示す。
【表1】清浄度クラスの上限濃度(個/m3)
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※備考
- クラス3、クラス4、クラス5、クラス6、クラス7及びクラス8は、それぞれFederalStandard209D(Clean Room and Work Station Requirements Controlled Environments)のクラス1、クラス10、クラス100、クラス1,000、クラス10,000及びクラス100,000に相当するものである。
- 上限濃度は、対象粒径以上の粒子濃度を表している。
- 上限濃度は、粒径0.1及び0.5μmの値を基準としている。
- 【表1】に示されていない清浄度クラス粒径範囲内の上限濃度は、次の式で求める。
- 括弧内の数字は、清浄度クラスを評価するための対象粒径以外の粒径に対する値で、参考値である。
(出典:財団法人日本規格協会編「JISハンドブック」)
ISOクラス分類表
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- 出典:ISO 14644-1