塗装
- いろいろな方法で被塗物に塗り付けられた塗料が、塗膜になる乾燥機構は塗料の種類によって異なります。ラッカータイプの塗料であれば、溶剤の乾燥だけで塗膜が形成されますが、橋かけタイプの塗料は、乾燥中に塗膜成分の分子量が増大し高分子化が進みます。通常、塗料の焼き付けとは、この橋かけ形塗料の典型的な乾燥手段であります。 現在の塗膜乾燥装置は大別して熱風対流式、輻射式、電磁波硬化に分けられますが、これらは単独または、複合して使用されています。 (1)熱風対流式 我が国で使用されている塗膜焼付け装置の大半は熱風炉であり、これには直火型と熱交換器を使用する間接型があります。熱風対流式は、炉長が長く、占有面積の多くを必要としますが、熱容量が大きく、形状の複雑な被塗物も均一に硬化させることができるため長年の実績と信用があります。タグ:塗装,
- 粉体塗料に電荷を与え、空気力によって被塗物に吹き付けて塗装する方法で、多方面で用いられています。 静電粉体吹き付け塗装は、接地した被塗物と吹き付けガンの電極との間に、30〜90kvの直流高電圧を印加します。 一方、粉体塗料を空気力によってガンから噴射すると、空気中に分散した塗料粒子は、ガンの電極で起るコロナ放電によって発生するイオン化空気と衝突して荷電します。 これがガンと被塗物間の静電場の作用と空気力によって被塗物に向い、静電気力によって被塗物上に吸着され成膜するものです。 静電粉体吹き付け塗装システムの一例を【図1】に示します。 本法の特徴は、次のようなものです。タグ:塗装,
- この方法は、流動浸漬法と似ていますが、粉体塗料の流動層に被塗物を浸漬するのではなく、流動層の上部にできる電荷された塗料粒子の浮遊層の中で、粉体塗料を電気的に付着する方法です。 装置は【図1】に示すように、多孔板に電極が設けてあり、その電極とアースの間に高電圧発生器によって30〜100kvの直流電圧を印加します。その結果、接地された被塗物と電極との間に強い電界が生じ、また電極から発生するコロナ放電によって槽内の空気がイオン化され、粉体塗料粒子が帯電し、相互に反撥し合って流動層上部に浮遊し、反対極の被塗物に吸着されます。
- 流動浸漬法は、流動床法あるいはフィルダイズベッド法などと呼ばれています。 【図1】のように多孔板を底板とする流動槽に粉体塗料を入れ、圧縮空気または不活性ガスを圧送すると、多孔板を通じて粉体塗料が舞い上がり、流動状態になります。 この流動層に、塗料の溶融温度以上に予熱した被塗物を浸漬すると、その表面に接触した粉体塗料は半溶融状態か溶融状態で塗膜を形成します。必要に応じて後加熱して仕上げます。 多孔板は、セラミックス板、発泡樹脂板、焼結金属板、濾布などで、気孔が均一で、気孔の大きさは10〜60μmのもののうち、塗料の粒度に合ったものが用いられます。
- 粉体塗装の溶射法は、金属粉末の溶射から発達した方法で、ポリエチレン、ナイロンなど熱可塑性樹脂塗料によく用いられます。また、エポキシなど熱硬化性樹脂系塗料を使用する場合には、溶射後焼付け再加熱して皮膜を再溶融することが必要であります。 溶射機には、ガス溶射機、プラズマジェット溶射機などがあります。 【図1】にガス溶射機の原理、【図2】には装置の構成を、【図3】にはプラズマジェットガンの構造を示します。 ガス溶射は、酸素とアセチレンガス(またはプロパンガス)の燃焼で2,000~3,000℃の高温炎が発生します。この炎を包むように圧縮空気を噴射させて、炎の長さを調整すると共に、粉体塗料の酸化を防ぎます。炎の中心に粉体塗料を圧送して溶融または半溶融状態でワークに吹き付けられます。タグ:塗装,
- 静電塗装は霧化塗装の一種で、遠心力・空気圧・液圧などで霧化した塗料粒子に静電気を帯電させて電気的に被塗物(ワーク)に塗布させるものです。 静電気はよく知られているように、ガラス棒を絹布や毛皮で摩擦すると、ガラス棒表面に静電気を生じます。絹布で摩擦したガラス棒には正(+)の電気が、毛皮でこすったガラス棒には負(−)の静電気が発生します。 正に帯電しているものと負に帯電しているものとは引き合いますが、正と正、負と負は反撥します。 【図1】のように被塗物をアース(接地)しておいて、塗料霧化装置を高電圧の負極にしておけば、被塗物の表面は正に帯電して両者の間には静電界が形成され、霧化装置を飛び出した塗料粒子は負に帯電していますから被塗物に塗着します。この方式の特徴は、手吹き式ガンなどに較べて塗料の無駄が殆どないことです。タグ:塗装,
- 電着塗装は、カチオン型とアニオン型に大別できます。【図1】に示すようにカチオン型は、被塗物(ワーク)を陰極(−)にし、対極を陽極(+)にするのに対し、アニオン型は被塗物を陽極に、対極を陰極にします。 被塗物を電着塗料水溶液中に全没し、整流器から直流を印加しますと、イオン性をもった電着塗料粒子が電気泳動して析出します。析出した塗料は、イオン性を失い不溶性となるため非電導性の皮膜抵抗を示します。そのため、被塗物の形状が複雑であっても均一な薄膜塗装が行えます。 カチオン型電着塗装は、被塗物が陰極(−)になるので素地金属の酸化溶解変色などが起りませんが、アニオン型では、これらの反応が起り、銅・黄銅・銀めっきなどの塗装には使われません。
- 塗料の種類についての説明が長くなってしまいましたが、それではこれらの塗料をどのようにして被塗物(ワーク)に塗り付けるか。その方法についてお話しましょう。 現在行われている塗料の塗り付け方法を【表1】にまとめました。塗料には、液状の流動性塗料と粉末状の粉体塗料があります。粉体塗料の塗り付け方法は、静電粉体塗装と流動浸漬塗装などがありますが、液状の流動性塗料にはいろいろの方法があります。 まず、塗料を直接塗り付けるか、霧化して間接的に塗り付けるかによります。前者は、昔から行われてきた方法で、刷毛などの道具を使って塗り付けてきました。刷毛などを使わず、塗液の中にワークを浸して塗り付けたり、水溶性の塗料液の中で通電して塗り付けます。また、塗料をワークに流しかける方法があります。これらの方法はいずれも塗料の無駄がありません。 これに対して塗料を霧化して塗り付ける方法は、作業の能率はあがりますが塗料の無駄が多くなります。またエネルギーも沢山使います。代表的な方法を説明します。タグ:塗装,
- (15)粉体塗料 粉体塗料は、熱可塑性または熱硬化性樹脂に顔料、充填剤、硬化剤、可塑剤などを加えて微粉末にした合成樹脂組成物であります。 熱可塑性粉体塗料用樹脂としては、塩化ビニル、ポリオレフィン(ポリエチレン)、ポリアミド(ナイロン)、セルローズエステル(CAB)、フッ素樹脂などがあります。これらの塗膜形成は、粉体粒子の熱融着によります。 熱硬化性粉体塗料の樹脂は、エポキシ、アクリル、ポリエステル樹脂などが使われます。なかでもエポキシ樹脂粉体塗料が大量に生産されています。これらの樹脂は焼け付く前までは低分子量でありますが、可熱融着すると、塗料中の硬化剤によって橋かけ反応が開始され、高分子化されます。 粉体塗装の特徴をあげると次のとおりです。 [1] 無溶剤形塗料で、大気汚染の心配がない。粉末状のため回収再利用が可能。[2] 一回塗りで厚膜が得られる。[3] 作業が自動化、高度な塗膜管理ができ、製品の長寿命化可能。[4] 作業が安全、火災の心配がない。 高温焼付け(160〜200℃)を必要とするので、200℃の焼き付け可能なものに限られます。耐久性、耐候性、耐食性、肉持ち感を要求されるものには大きなメリットがあります。タグ:塗装,
- (13)酒精塗料 酒精塗料は、アルコール可溶性樹脂をアルコールに溶かした溶剤揮発乾燥形の塗料です。乾燥が速く、肉もち、光沢がよくて、しかも安価ですから、昔から木工家具などの透明塗装に使われてきました。近年は、天然樹脂塗膜の欠点を補うために多くの合成樹脂が使われています。 (1)セラックニス セラック虫の幼虫の分泌物である天然産セラックを、アルコールに溶解した樹脂溶液がセラックニスです。普通セラックニスのセラック含有量は20〜30%です。常温乾燥10〜30分で2〜3時間後には、塗膜面の研磨が可能になります。 木材のヤニ止め、ふし止め、木工家具の下塗り、油性塗料の下塗りなどに使用されています。 (2)合成樹脂速乾ニス セラックニスの欠点を補う目的で、各種の合成樹脂速乾ニスがつくられています。セラックニスの耐熱性と耐水性を改善したものが多く、一例をあげますと、PVB+アルコール可溶性フェノール樹脂を塗膜主要素とするもの、ロジン変性マレイン酸樹脂に少量のニトロセルローズ、可塑剤を添加したものなどがあります。いずれも木工用に用いられます。タグ:塗装,
- (12)ビニル樹脂塗料 この塗料は大別して、樹脂溶液をビヒクルとした「溶液形塗料」と、粉末樹脂を可塑剤(および少量の溶剤)に分散した「ゾル形塗料」に分けられます。塗膜の共通した特徴として防食性、とくに耐アルカリ性に富んでいます。作業性・付着性はよくないので、適切なプライマー塗装が必要です。 (1)塩/酢ビニル共重合樹脂塗料 塩化ビニル、酢酸ビニル共重合樹脂を塗膜主要素とする熱可塑性樹脂溶液形塗料で、普通、酢酸ビニルの含有量は9〜15%です。 この樹脂は、エステル、ケトンなどと芳香族炭化水素の混合物によくとけます。塗膜は耐水性、耐油性、耐薬品性に優れますが、顔料分散性がよくなく、高粘度のため作業性、肉のりが悪い特徴があります。 耐薬品性塗料として工場設備、タンク、パイプの内外装、機械工具類の防食塗装、船底塗装、可はく性塗装として用いられます。タグ:塗装,
- (11)ラッカー 乾燥の早い溶液形塗料を一般にラッカーといっています。油性塗料やいままで述べてきた合成樹脂塗料は、塗料と塗膜の分子量に大きな差がありますが、ラッカーでは塗膜主要素の分子量は十分に大きく、単に溶剤の揮発だけで塗膜が形成されます。一旦形成した塗膜も、その溶剤で再び溶けます。 塗膜主要素の種類により、繊維素(セルローズ)誘導体ラッカー、ビニル系ラッカー、アクリル系ラッカーなどがあります。しかし、単にラッカーといえばニトロセルローズラッカーを指します。 また、このような原料樹脂による分類のほか、木材用、金属用ラッカー、ラッカー下地など、用途・塗装方法による分類もあります。タグ:塗装,
- (9)シリコーン樹脂塗料 シリコーン樹脂は、ケイ素を骨格とした縮合体であります。塗料としては純シリコーンはあまり使用されず、アルキド・エポキシ・フェノール・アクリル・メラミン樹脂などを変性剤とした変性シリコーン樹脂が使用されます。 純シリコーン樹脂、変性シリコーン樹脂を問わず、シリコーン樹脂塗料は、耐熱性、耐寒性、耐薬品性、耐候性、電気絶縁性などが非常によいことで有名です。 純シリコーン樹脂塗料は、メチル基・フェニル基をもつポリマーで、その耐熱性は200〜250℃です。メチル基が多くなると塗膜の可とう性・撥水性は増しますが、耐熱性は低下します。 変性シリコーン樹脂は、アルキド樹脂・ポリエステル樹脂・エポキシ樹脂・アクリル樹脂などの変性シリコーン樹脂で、耐熱性は150〜200℃であります。 無機質フィラー添加シリコーン樹脂塗料は、シリコーン樹脂に耐熱顔料・アルミニウム粉末・グラファイト・セラミック粉末などを添加したもので、その耐熱性は300〜650℃と高くなります。タグ:塗装,
- (7)エポキシ樹脂塗料 エポキシ樹脂には、端末にエポキシ基、分子内にOH基があるので、これに多種多様な変性や橋かけ反応(硬化)を行うことができます。次のような種類があります。 (1)常温乾燥エポキシエステル塗料 エポキシ樹脂を脂肪酸でエステル化したエポキシエステルは、その分子構造が油変性アルキド樹脂に非常によく似ているので塗膜の性質もよく似ています。付着性、耐薬品性が優れています。油性下地塗料、耐薬品性塗料として用いられます。 (2)エポキシエステル焼付け塗料 アミノアルキド樹脂塗料のアルキド樹脂をエポキシエステルで代替した塗料です。焼き付け温度はやや高く130℃以上を必要とします。下地塗料、耐薬品性塗料、金属缶用印刷インキとして使用されます。 (3)高温焼付けエポキシ樹脂塗料 高分子量エポキシ樹脂とフェノール樹脂またはアミノ樹脂の混合物をビヒクルとした塗料です。塗膜の付着性、耐薬品性は非常に良好で、耐薬品性塗料、缶用印刷インキとして使われています。タグ:塗装,
- (5)ポリエステル樹脂塗料 不飽和ポリエステル樹脂は、無水マレイン酸のような不飽和塩基酸と、エチレングリコール・プロピレングリコールのような2価のアルコールを縮合したプレポリマーで、これを二重結合当量よりやや過剰のスチレンモノマーのような反応性モノマーに溶解したものがポリエステル樹脂塗料です。 例えば、無水マレイン酸とエチレングリコールからのポリエステルに触媒として過酸化物、促進剤としてナフテン酸コバルトを加えると、マレイン酸単位の二重結合で反応性モノマーが橋かけ結合して、不溶性の塗膜を形成します。 この塗料は、塗装直前に触媒を混合して用いる2液形常温塗料であります。この場合スチレンモノマーは、硬化までは、塗料に流動性を与える溶剤的作用をし、硬化するときは橋かけ剤として塗膜形成要素になります。従ってこの塗料は、無溶剤塗料であります。 ポリエステル塗料は、[1] 無溶剤のため溶剤の揮発がなく1回塗りで厚い膜が得られる。[2] 塗膜は硬く、耐薬品性、耐磨耗性がよい。[3] 硬化による体積収縮が大きく付着性が悪い。[4] 塗膜はたわみ性に乏しく傷跡が付き易い。[5] 暴露による光沢消失が著しいなどの特徴をもっています。タグ:塗装,
- (3)アルキド樹脂塗料 アルキド樹脂塗料は、無水フタル酸など多塩基酸と、多価アルコール(グリセリンなど)のエステルを基体とし、さらに各種の油または脂肪酸で変性したアルキド樹脂を塗膜主要素とする常温乾燥塗料です。 塗料適性を改善する目的で、ロジン、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、スチレンモノマーなどで変性することがあります。これらは変性アルキド樹脂塗料といわれ、変性しないものは油変性アルキド樹脂塗料または純アルキド樹脂塗料と呼ばれています。 この塗料は、[1] 塗膜が強靭で付着性、耐候性がよい。[2] 顔料分散性がよいため色、光沢がよく、保色性がよい。[3] 肉のりがよい。[4] 塗膜の耐水性、耐溶剤性、耐熱性がよい。[5] 使い易く安価。などが特徴です。 あらゆる分野に多量に使用され、次に述べるアミノアルキッド塗料とともに実用塗料の王座を占めています。建設関係(屋内外の塗装、建材、鋼構造物、設備など)、船舶用、車両用、金属塗装用(大型電気機器、機械工具類、農機具など)、家庭用などに使われています。タグ:塗装,
- これから、いろいろな塗料についての説明を行います。 (1)油性塗料 乾性油を主成分とした塗料を総称して油性塗料といいます。 乾性油とは、あまに油、桐油のことで、これには油ペイントと油エナメルがあります。油ペイントは塗膜構成要素であるボイル油と顔料の混合物であり、油エナメルは油ワニスと顔料で構成されます。 即ち、ボイル油=油(原則として溶剤を含まないもの) 油ワニス=油+樹脂+溶剤 (1)ボイル油および油ペイント 乾性油(あまに油、桐油など)、半乾性油(大豆油、サンフラワー油など)に空気を吹き込んで加熱重合した重合油に乾燥剤を添加したものがボイル油です。 これに亜鉛華、チタン白、カーボンブラックなどを混合した塗料が油ペイントであります。この塗料の特徴は、乾燥は遅いが、刷毛さばきがよく耐久性に優れているので、鉄鋼、木材などの構造物の屋内外塗装に用いられています。タグ:塗装,
- (1)塗料の構成要素 塗料を構成する要素は<1>塗膜形成主要素、<2>塗膜構成助要素、<3>顔料、<4>溶剤であります。塗膜形成主要素は、塗料の性質を決める重要な主成分であって、重合油、天然または合成樹脂、繊維素、ゴムの誘導体などの高分子物質が含まれています。高分子といっても分子量3,000〜6,000位の比較的分子量の小さい高分子が用いられています。これらは塗装・乾燥後より高分子のポリマーになります。 塗膜構成助要素(塗料添加剤)には、可塑剤、乾燥剤、硬化剤、増粘剤、などがありますが、これらの添加剤は要求される塗膜の性質に応じて添加されます。溶剤は、鼓膜構成要素を溶解して顔料を分散させます。 (2)塗料の各種分類 塗料は、【表1】に示すように、各種の方向から分類することができます。タグ:塗装,
- 塗膜を形成させるためには、塗料が必要です。塗料については後に詳しくご紹介しますが、塗料は一般に流動体の液体でありますから、この性質を利用して塗装しようとする面(以下、被塗面といいます)に塗りつけます。塗りつける方法はいろいろあります。 期待される性能をもつ塗膜を形成させるためには、他の表面処理と同様に、塗膜と被塗面との間に、油、ごみ、さびなどの異物が介在してはならず、塗装の前には前処理が必要です。また、塗膜が素地と強固に付着するためには、素地表面の性質に応じて塗膜構成要素であるポリマーが配向することが必要です。そのためには分子の運動が自由である液状が有利です。ですから今日用いられている塗料の大部分は液体です。 塗装工程のあらましは、次のとおりです。 (1)前処理 被塗面の油、ごみ、さび、異物などを除き、表面を清浄にします。脱脂、酸洗いがこれに該当します。また要望に応じて、バフ研磨・サンブラストなどの機械的研磨や、塗膜の密着性や耐食性を高めるためのリン酸塩処理などの化成処理が行われます。タグ:塗装,
- 塗装 塗装は、いままでご紹介してきた表面処理法のなかでは最も古い歴史をもつものでしょう。塗装は塗料を使って物体表面に美観を与え、物体を保護する目的で、有史以前から行われていたといわれています。 エジプトのミイラや古墳から発見された矢尻に漆が使われています。勿論これらに使われた塗料は天然物である天然樹脂、乾性油、生うるし、動物性蛋白質などでありました。それに岩石などの色彩をもつ粉末を加えて塗料にしていたのです。 現在使用している塗料の概念に近い、溶剤で希釈するようになったのは18世紀からで、我が国では、明治初年に洋式ペイント(油ペイント)が輸入され、やがて漆や渋に替わってそれらの生産がはじまったといわれています。 現在では、日常生活に必要な建築機材、家電製品、日用品などのほか、大型構築物、輸送機関、建材、電気、通信、農林水産関係など、あらゆる面で、木工品、鉄鋼製品、非鉄金属製品、プラスチックスなどに塗装されています。 塗装の目的 塗装は、塗装しようとする製品の表面に、有機質の塗膜を形成させ、それによって次のような目的を達しようとするものです。タグ:塗装,