塗料の種類についての説明が長くなってしまいましたが、それではこれらの塗料をどのようにして被塗物(ワーク)に塗り付けるか。その方法についてお話しましょう。
現在行われている塗料の塗り付け方法を【表1】にまとめました。塗料には、液状の流動性塗料と粉末状の粉体塗料があります。粉体塗料の塗り付け方法は、静電粉体塗装と流動浸漬塗装などがありますが、液状の流動性塗料にはいろいろの方法があります。
まず、塗料を直接塗り付けるか、霧化して間接的に塗り付けるかによります。前者は、昔から行われてきた方法で、刷毛などの道具を使って塗り付けてきました。刷毛などを使わず、塗液の中にワークを浸して塗り付けたり、水溶性の塗料液の中で通電して塗り付けます。また、塗料をワークに流しかける方法があります。これらの方法はいずれも塗料の無駄がありません。
これに対して塗料を霧化して塗り付ける方法は、作業の能率はあがりますが塗料の無駄が多くなります。またエネルギーも沢山使います。代表的な方法を説明します。
【表1】塗料の塗り付け方法の分類
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1) | 吹付け塗り:スプレー塗装ともいい、圧縮空気を使って塗料を霧化し、ワークに塗り付けます。塗料の無駄が非常に多い方法です。 |
2) | エアレススプレー:上記の吹付け塗りの霧化に圧縮空気を使わず、塗料を圧縮して霧化させる方法です。 |
3) | 静電塗装:遠心力、静電気、圧縮空気、塗料の圧縮等で霧化した塗料とワークの間に静電気を帯電させて、塗り付けの効率を高めた方法。 |
4) | 流動浸漬塗装:流動装置内に、圧縮空気で粉体塗料を浮遊流動させ、そこに予め加熱したワークを入れて、ワーク表面に塗料を付着・融着させる方法。 |