粉体塗装の溶射法は、金属粉末の溶射から発達した方法で、ポリエチレン、ナイロンなど熱可塑性樹脂塗料によく用いられます。また、エポキシなど熱硬化性樹脂系塗料を使用する場合には、溶射後焼付け再加熱して皮膜を再溶融することが必要であります。
溶射機には、ガス溶射機、プラズマジェット溶射機などがあります。
【図1】にガス溶射機の原理、【図2】には装置の構成を、【図3】にはプラズマジェットガンの構造を示します。
ガス溶射は、酸素とアセチレンガス(またはプロパンガス)の燃焼で2,000~3,000℃の高温炎が発生します。この炎を包むように圧縮空気を噴射させて、炎の長さを調整すると共に、粉体塗料の酸化を防ぎます。炎の中心に粉体塗料を圧送して溶融または半溶融状態でワークに吹き付けられます。
通常は、密着性を高めるためにワークを予め100~200℃に予熱したり、溶射後表面をあぶり、再溶解させて塗膜を平滑にすることできます。
この方法を用いれば、焼き付け炉は不要であるので、大型構造物、屋外作業、化学装置大型容器の内側厚塗りなどが可能です。
プラズマジェット溶射は、【図3】のようにガン内部にある陰極と陽極との間に直流電流を流してアークを発生させ、その中に不活性ガスを導入すると、ガスはアークの高温によって電離されプラズマを発生します。
電離している高温ガスがアークの外周を流れるガスや冷却水によって冷却されると可逆的に電子と陽子イオン、原子同士の結合により、一種の反応熱がプラズマ炎中で発生し、綜合的にプラズマ温度は20,000℃以上になります。施行の一例として、DC50~75v/130~150A、窒素ガス50~70ℓ/分、冷却水15~20ℓ/分、エポキシ粉体塗料30~60g/分などがあります。