(3)アルキド樹脂塗料
アルキド樹脂塗料は、無水フタル酸など多塩基酸と、多価アルコール(グリセリンなど)のエステルを基体とし、さらに各種の油または脂肪酸で変性したアルキド樹脂を塗膜主要素とする常温乾燥塗料です。
塗料適性を改善する目的で、ロジン、フェノール樹脂、シリコーン樹脂、エポキシ樹脂、スチレンモノマーなどで変性することがあります。これらは変性アルキド樹脂塗料といわれ、変性しないものは油変性アルキド樹脂塗料または純アルキド樹脂塗料と呼ばれています。
この塗料は、[1] 塗膜が強靭で付着性、耐候性がよい。[2] 顔料分散性がよいため色、光沢がよく、保色性がよい。[3] 肉のりがよい。[4] 塗膜の耐水性、耐溶剤性、耐熱性がよい。[5] 使い易く安価。などが特徴です。
あらゆる分野に多量に使用され、次に述べるアミノアルキッド塗料とともに実用塗料の王座を占めています。建設関係(屋内外の塗装、建材、鋼構造物、設備など)、船舶用、車両用、金属塗装用(大型電気機器、機械工具類、農機具など)、家庭用などに使われています。
(4)アミノアルキド樹脂塗料
アミノアルキド樹脂塗料は、アルキド樹脂とアミノ樹脂の混合物を塗膜主要素とする焼付け塗料です。
アミノ樹脂としては、ブチル化メラミンまたは尿素樹脂が広く用いられます。焼き付け過程(120℃×20分)で、アルキド樹脂のOH基とアミノ樹脂のCH2OH基がエーテル結合して硬化塗膜を形成します。
アミノアルキド樹脂塗料の性質は、原料樹脂の種類、その配合比、焼付け条件によって左右されます。例えば樹脂濃度や焼き付け温度が高いほど、硬化皮膜の橋かけ密度が高くなり、硬さ、耐薬品性が大きくなります。
この塗料の一般的性質は次のようなものです。
[1] 低温・短時間焼付けができる。[2] 塗膜は硬く光沢がよい。[3] 変色が少なく耐候性、耐薬品性がよい。[4] 耐磨耗性、電気的性質もよく、難燃性である。
しいて欠点をあげれば、エポキシ・ビニル・アクリル樹脂塗料にくらべて、付着性、耐アルカリ性が劣ることです。
現場塗装する大型構築物を除き、焼付け可能なものについて下塗り用・上塗り用として建材(サッシュ、表面処理鋼板など)、自動車、電気材料、機械、金属家具、事務用機器、その他の金属製品の塗装に広く用いられています。