静電塗装は霧化塗装の一種で、遠心力・空気圧・液圧などで霧化した塗料粒子に静電気を帯電させて電気的に被塗物(ワーク)に塗布させるものです。
静電気はよく知られているように、ガラス棒を絹布や毛皮で摩擦すると、ガラス棒表面に静電気を生じます。絹布で摩擦したガラス棒には正(+)の電気が、毛皮でこすったガラス棒には負(−)の静電気が発生します。
正に帯電しているものと負に帯電しているものとは引き合いますが、正と正、負と負は反撥します。
【図1】のように被塗物をアース(接地)しておいて、塗料霧化装置を高電圧の負極にしておけば、被塗物の表面は正に帯電して両者の間には静電界が形成され、霧化装置を飛び出した塗料粒子は負に帯電していますから被塗物に塗着します。この方式の特徴は、手吹き式ガンなどに較べて塗料の無駄が殆どないことです。
工業的に使用されている静電塗装機の大別を【表1】に示しました。これらには塗料噴霧装置が、固定されているか、ある距離を移動するかのコンベアー対応型と、従来の手吹きガンのように作業者の意思でどのようにも使える手持式があります。
【表1】静電塗装装置の分類
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