(5)ポリエステル樹脂塗料
不飽和ポリエステル樹脂は、無水マレイン酸のような不飽和塩基酸と、エチレングリコール・プロピレングリコールのような2価のアルコールを縮合したプレポリマーで、これを二重結合当量よりやや過剰のスチレンモノマーのような反応性モノマーに溶解したものがポリエステル樹脂塗料です。
例えば、無水マレイン酸とエチレングリコールからのポリエステルに触媒として過酸化物、促進剤としてナフテン酸コバルトを加えると、マレイン酸単位の二重結合で反応性モノマーが橋かけ結合して、不溶性の塗膜を形成します。
この塗料は、塗装直前に触媒を混合して用いる2液形常温塗料であります。この場合スチレンモノマーは、硬化までは、塗料に流動性を与える溶剤的作用をし、硬化するときは橋かけ剤として塗膜形成要素になります。従ってこの塗料は、無溶剤塗料であります。
ポリエステル塗料は、[1] 無溶剤のため溶剤の揮発がなく1回塗りで厚い膜が得られる。[2] 塗膜は硬く、耐薬品性、耐磨耗性がよい。[3] 硬化による体積収縮が大きく付着性が悪い。[4] 塗膜はたわみ性に乏しく傷跡が付き易い。[5] 暴露による光沢消失が著しいなどの特徴をもっています。
(6)ポリウレタン樹脂塗料
この塗料は、硬化塗膜中にウレタン結合を有する塗料の総称で、市販のウレタン塗料には大別して次の4種類があります。
(1)2液ポリウレタン樹脂塗料
イソシアネート基(-NCO)を多数もつイソシアネート化合物溶液と、OH基を多数もつポリエステルプレポリマー溶液を塗装直前に混合すると、NCO基とOH基が橋かけ反応してウレタン結合を生じます。
(2)ポリウレタン樹脂焼付け塗料
NCO基をフェノールまたはアルコール性OH基をブロックしたイソシアネート成分と、ポリエステル樹脂ビヒクルとする1液形焼付け塗料で、180℃で焼き付けます。ウレタンエナメル線などに使用されます。
(3)湿気硬化形ポリウレタン樹脂塗料
トルエンジイソシアネート(TDI)を2〜3価のアルコールで橋かけしたプレポリマーを塗膜主要素とする塗料です。この塗料は、塗装後空気中の湿気と遊離NCO基が反応して網目構造の塗膜を形成します。高湿度ほど乾燥が早い点で漆に似ているので、漆器類にも用いられます。
(4)油変性ポリウレタン樹脂塗料
トルエンジイソシアネート(TDI)を油変性アルキドと反応させて、油変性ウレタンまたはウレタン化アルキド樹脂をつくります。硬化機構は、油性塗料と同じで乾燥剤の添加が必要です。木工塗装に使用されます。