錫めっきは昔からブリキの名称で、鉄板上への溶融めっきとして知られ、各種の缶類に用いられてきました。
近年錫めっき浴の改良が進み、光沢性、はんだ付け性、耐食性が優れた光沢錫めっき浴の実現によって電子部品等への応用が進み、高価な金めっきの代替、長期的に信頼性の高いめっき皮膜として多方面に用いられています。
【表1】に錫めっき皮膜の特性と利用分野を示します。
【表1】錫めっき皮膜の特性と利用分野
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錫めっき浴の種類と皮膜の硬度を【表2】に示しました。ただし、めっき皮膜の硬度は、光沢剤やめっき条件によって変化するので、一応の目安として示しました。 はんだ付け性は無光沢めっきよりも光沢めっきの方が良好です。耐食性も光沢めっきの方が良好で、5μm以上の光沢錫めっきではピンホールは殆ど認められません。 |
【表2】錫めっき浴の種類と皮膜の硬度
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エレクトロニクスへの錫めっき利用上の注意点としては、1. 変色防止処理を施すこと、2. ホイスカー発生防止対策等が必要です。
※ | ホイスカーとは、放置した金属表面に発生する猫のひげのような繊維状の金属結晶で、小型化・高密度化された電子装置・通信装置などでは、これによって電気回路をショートさせるなどの事故を起します。ホイスカー防止対策としては、錫に鉛を5-10%共析させる(合金めっき)、リフロー処理(溶融処理)などの方法があります。 |