機能めっきとして要求される電気的特性は、つぎの通りです。
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(1)電気電導性
電導性が最も優れている金属は銀であり、ついで銅、金、錫などです。従って電導性を要求される部品には、これらのめっきが活用されています。エレクトロニクスの分野では、プリント配線板の表裏を電気的に接続するスルホールめっきとして、銅めっきは不可欠です。接点・コネクター・スイッチなどでは、金・銀・錫・ニッケルめっきが採用されています。金や銀の純度が高いと皮膜が柔らかいので、硬度の高い合金めっきが施されます。
(2)高周波特性
ミリ波やマイクロ波の高周波電流の伝わり易さのことで、マイクロウエーブの導波管などでは信号伝送の損失が少ないことが求められるので、導波管表面の平滑性が重要です。これのために、銅めっきや銅電鋳が用いられます。
(3)磁性
磁気記録媒体には静的・動的な磁気特性が要求されます。ニッケル-コバルト、ニッケル-コバルト-りん、コバルト-りんなどの合金めっきが用いられています。
(4)低接触抵抗
電気的接触部での電気抵抗の小さい特性のことで、接点・スイッチ・コネクターなどでは電気抵抗や接触抵抗が小さいこと、耐食性、耐磨耗性、耐衝撃性などが要求されます。
(5)電磁波シールド特性
コンピュータなど電子機器や通信機器は電磁波障害の発生源であり、またそれらノイズの影響を受けて誤動作や障害を受けます。これらの障害を吸収または遮蔽する対策として、導電性に優れた無電解(銅・ニッケル)めっきが採用されています。 |
(6)抵抗特性
電子回路の用いられる抵抗体の一つとして、セラミック基体に無電解ニッケルめっきを施したものが用いられています。抵抗値はめっき厚さによってコントロールでき、温度特性に優れ、量産性に優れています。