金型製作やプレス加工の中で「ダイ(Die)」という言葉は大変よく使われてます。
この言葉は、
(1)ダイ…金型全体を示す。→型、金型(Die)
この場合、「ダイ」と単独で使うことは少なく、「型」または「金型」と使うことが多いです。「ダイ」と使うときには、目的語の後に付けて使うことが多いです。例えば「ブランキングダイ」といった使い方です。金型全体を示す目的で「ダイ」を使うと理解されないことが多いかも知れません。また、
型=ダイ(Die)と使うのは、板や固まりの材料から形状を作る型に使われます。プレス加工用の型や鍛造加工用の型などです。
型=モールド(Mold)と使うのは、溶けた材料から形状を作る型に使われます。射出成形加工用の型や鋳造加工用の型などです。
したがって「Die&Mold」と使うのは「型」全般を指すときに使われます。
また、金型=金属で作られた型、砂型=砂で作られた型(鋳造型)、木型=木で作られた型などの見方もあります。
(2)ダイ…金型を上型と下型に分けたときの下型を示す。→下型(Lower Die)
一般的には「下型」または「下ダイ」と呼ぶことが多いですが、時に「ダイ」と使うことがあります。この場合は話の流れで判断しないと間違えることがあります。
(3)ダイ…下型のパンチの受け側を構成するプレートを示す。→ダイプレート(die Plate)
ダイがどうなっている、ダイを持ってきて、ダイが割れたなどと使われたときには、この「ダイプレート」を指しています。また、「一体式ダイ」とか「入れ子式ダイ(インサートダイ)」などと使われた時には、この「ダイプレート」を指しています。
(4)ダイ…パンチ受け側を構成するプレートのパンチ受け側形状を示す。→ダイ(Die)
パンチ受け側を示す表現として「ダイ」に変わるものはありません。現場用語で「雌型(めがた、めすがた)、臼(うす:絞りのダイ)」と使われることもあります。
ダイ形状、ダイ肩半径またはダイR、ダイが欠けた、ダイのみがきなどと使われたときにはこの部分を示しています。
ダイという用語は日常的には、パンチの受け側形状を示すときです。これが分かりづらいことからダイを構成するプレートやブロックを指してダイと呼ぶことも多いと思います。
会話の中でこの言葉がいろいろな形で出てくるものを違和感なく分かるようになったら、プレス加工や金型についてかなり理解ができていると自信を持っていいでしょう。