Q
抜き加工力の軽減策として、シヤー角があるがどのように使えばよいのかを知りたい。
A
通常の抜き加工では、パンチ、ダイともに平らに作るので、抜き輪郭形状全体が同時に力を受けます。そのときの加工力(P)の計算式は次のようになります。
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プレス機械の能力に対して加工力が大きくると、何とか軽減したくなります。この時の軽減策に使われるものがシヤー角です。【図1】は外形抜き型に対するシヤー角のつけ方で、ダイ側にシヤー角を取ります。【図2】は穴抜き型のシヤー角のつけ方で、パンチ側にシヤー角を取ります。
図から分かるように、ダイにシヤー角をつけるとダイ上の材料がシヤー角形状に変形し、パンチにつけると抜かれた材料が変形します。シヤーの量(図のS)でシヤー角を表すことが多いのですが、Sの量は板厚(t)の1/3t〜2t位が多く使われます。シャー角をつけたときの加工力は次のようになります。
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【表1】シャー角による係数
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シヤー角をつけると加工力は軽減できますが、材料の変形も残るためあまり大きなシヤーをつけません。一般的には板厚程度までが多いです。
シヤー角をつけると加工力は低減しますが、加工完了までに長い行程がかるため、せん断エネルギーはシャー角なしの場合と変化無いと考えます。
シャー角をつけると加工時に横荷重が発生します。横荷重のバランスを取るように、対象形にシャー角をつけます。