パンチの設計を「打ち抜きパンチの設計(打ち抜き型の設計 その2)」で説明しました。そのときに、パンチが小さくなってくると単独での保持が難しくなり、プレートに埋め込んで固定する方法をとることを説明しています。このパンチを保持するプレートがパンチプレートです。パンチプレートを使った固定ストリッパ構造の標準的な構造が【図1】です。
固定ストリッパ構造では、パンチの位置および垂直をパンチプレートで作ります。方法は、パンチをパンチプレートの穴に軽圧入します。軽圧入とは、パンチを軽くたたいて穴に入っていくイメージです。強い圧入にすると、パンチプレートが反ったりしてよくありません。パンチが抜けて脱落しないようにする(パンチ抜け止め)ことも考えなければなりません。その内容を、パンチの形状や抜け止めとの関係から示したものが【図2】です。
(a)は、丸形状や角形状などのシンプルな形状のパンチの例です。このようなパンチではフランジ(つば)を作り、抜け止めとすることが多いです。
(b)は、ワイヤカット放電加工で作るような異形状のパンチの例です。パンチにねじ加工をして、ボルトでバキングプレート(バックアッププレート)と締結して抜け止めをします。
(c)は、パンチ断面が比較的大きいときの例です。断面積が大きくなるとバッキングプレートを無くし、パンチホルダに直接パンチプレートを固定します。ボルトで抜け止めをするときの例を示しています。シャンクの変化を(b)図と(c)図で見比べてください。部品の取り付け方によって他の部品にも影響を与え、変化することもある例としても示してみました。
【図3】は、パンチプレートの穴の設計例です。
(a)は、角形状のシャンク用の穴の例です。角形状では角部が問題となります。角部が引っかかって入らないことが多いのですが、分からずに直辺部を広げてダメにしてしまうことがあったりします。このようなことを防ぐため、角部を逃がし組立を容易にする工夫をしておきましょうという例です。(イ)で示しているのは、円弧で角を逃がすとき、円弧の中心を内側にずらすとよいことを示しています。
(b)は、異形状のパンチの穴を埋め込むときの工夫です。形状にきれいに合わせる必要はなく、ポイントとなる部分を押さえ、シンプルな形状の穴に設計することよいことを示しています。