[2024/2/9公開]
Question
5軸加工の際、刃物の干渉を避けて加工する方法はありますか?
- 既存治具だとツールとの干渉が大きく、多面加工がうまくできない。
- 専用治具ではなく、5軸加工において汎用的に使える治具が欲しい。
Answer
コンパクトで干渉の少ないバイスを使ってみる。
①主軸干渉を意識した嵩上げ構造
②回転中心でのクランプを実現するセンタリング構造
5軸加工機におけるツールの干渉はなぜ起こるのか
5軸加工の治具設計で問題となるのがツールや治具との干渉です。
5軸加工機では、X/Y/Zの3軸に加えて、A/C軸の回転軸が2つ加わり、多面加工が可能になります。
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しかし、治具のサイズが大きいと、刃物がワークまで届かないことや、加工エリアを狭めてしまう可能性もあります。
例えば、3軸機で汎用的に使用できるバイスでも、5軸機で使うと刃物との干渉が起こってしまいます。
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そのため、5軸加工機での治具設計には、
- 小型構造で、ワークと刃物の間の障害にならない
- 掴み代が少なく、加工エリアを殺さない
といったような構想が必要となってくるのです。
干渉を避けてクランプするには?
5軸加工機向けに干渉を考慮した、汎用的に使用できるバイスが存在します。
専用治具を設計せずとも、多様なワークに1台で対応することができます。
①主軸干渉を意識した嵩上げ構造
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主軸とバイスの干渉を避け刃物の寄り付きが良くなるように、嵩が高い構造をしています。
また、ワーク掴み代も少なく、加工可能範囲も広く確保できます。
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②回転中心でのクランプを実現するセンタリング構造
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ワークを常に中心位置でクランプできるため、全方向から刃物の寄り付きが良くなります。
また、C軸回転時のワーク変位が少ないため主軸移動が少なく済み、加工時間短縮にも繋がります。
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5軸加工機向けのバイスを用いて簡単に干渉を回避することで、専用治具の設計にかかる時間を短縮することができ、生産性の向上に繋がります。
また、多様なワークに対してバイス1台で対応可能になるため、治具費用のコストダウンを実現することが可能になります。
使用事例
・5軸マシンバイス 紹介動画
・生産現場での活用事例
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イケール治具との組み合わせで
干渉を避けた多数個取りが可能に!
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山なりの嵩上げ構造で主軸との干渉を回避。
出典:株式会社ナベヤ