[2023/12/8公開]
Question
側面からワークをクランプする際に浮き上がりを抑える方法はありますか?
- 面削時にワークを横からクランプするが、浮き上がりが気になる。
- バイス治具でワークを挟み込むと、浮き上がりが発生してしまう。
Answer
浮き上がり防止機構のついた治具で、ワークに下方向の力を加える。
側面クランプ時のワークの浮き上がり
上面フライスを行う際などは、ワークを側面からクランプすることがしばしばあります。
ではなぜ側面クランプで浮き上がりが発生する恐れがあるのでしょうか。
ワークに対して横から力が働くと、ワークからの反力によって、押し込む力が上下に分散します。
この分力のうち、フリーになっている上側へと力が逸れるため、結果としてワークが上に押し出されて浮き上がりが発生してしまいます。
浮き上がりを防止するためには
クランプ時に下方向に押さえ付ける力を加えることで、ワークの浮き上がりを抑えることができます。
水平方向に力を加えながら、垂直下方向に力を伝えられる機構があります。
(1)クサビ機構
斜めに押し込むことで発生する、垂直下向きの力を利用した機構です。
上記イラストでは、傾斜面とワーク面の間に可動体を食い込ませることで、ワークの浮き上がりを抑制しています。
このクサビ機構をバイスに応用することで、ワークの浮き上がりが発生しやすいというバイスの欠点を解決することができます。
キャップボルトで斜めに押し込むことで、可動体とワークは斜めに押し込まれ浮き上がりません。
(2)ロックタイト機構
可動体内部の半球セグメント・半円スラストピンにより、浮き上がりを抑えつける機構です。
水平方向のクランプ力が半球体によって分散され、1/2の力が下方向へ押さえつけます。
ロックタイト機構により、可動体とワークの浮きを抑えることができます。
(3)ストッパーボルトを使用
ストッパーボルトを用いてワークを斜め下に押さえつけることも、加工時のワークの浮き上がりを防止することに十分な効果を発揮します。
(4)上面からクランプ
上面フライスなどでは不可能ですが、加工箇所との干渉がない場合には、
上面からサポートのクランプを追加することも挙げることができます。
ワークに対して下方面への力を加えることは、浮き上がりの抑制に対して非常に有効です。
皆さま日々現場でさまざまな工夫を成されているかと存じますが、ぜひ上記もアイデアの一つとして頭の片隅に置いていただけますと幸いです。
使用事例
薄物ワークでの浮き上がり防止事例
可動部を押し込んで浮き上がりを防止
斜めにネジを押し込むクサビ機構
出典:株式会社ナベヤ