[2023/12/8公開]
Question
加工時に発生する切粉への良い対策はありませんか?
- 加工後にT溝の中に切粉が残ってしまっている。
- 切粉の処理に時間がかかり、機械の停止時間が長引いている。
Answer
切粉の発生を抑える
- 切削条件の調整や刃具の変更を行う
どうしても発生してしまう切粉の処理
- T溝に切粉が入り込まないようにする。
- T溝清掃用の工具を使用する。
- クーラントで切粉を洗い流す。
切粉が及ぼす悪影響
機械加工を行う際、必ず発生する切粉。「切粉の多い工場は儲かっている証拠だ」という業界の決まり文句があるほど、日々の仕事に身近な存在です。
加工後、切粉発生の様子
そんな切粉ですが、加工後に放置してしまうと、様々なトラブルに繋がりかねません。
- 新たにワークを設置する際に治具と干渉し、加工不良の原因となってしまう。
- 刃具やワークに切粉が巻き付いて、傷になる可能性がある。
- T溝やタップ穴に切粉が詰まり、クランプができなくなってしまう。
などの問題が起こってしまう可能性があります。
大量に溜まると清掃が大変
T溝内部に詰まった切粉
上記のようなトラブルを避け、良品を生産するためにも切粉の対策を適切に行うことは必須の条件となっています。
切粉の発生を抑えるには
切粉への対策としてまず挙げられるのは、切粉の発生をできるだけ抑えることです。
具体的にはどのような方法が挙げられるでしょうか。
- 切削条件の変更
加工対象のワークに応じて適切な切削条件を設定することで、切粉の発生を抑制できます。
機械側から、主軸の回転数や送りの速度を調整します。 - 刃具の変更
刃物の種類によっては、加工と同時に切粉を分断できるものが存在します。
切粉を細かくすることによって、切粉の工具やワークへの巻付きを抑えることができます。
どうしても発生してしまう切粉の処理
どれだけ加工時に対策しても加工を行う以上、一定量の切粉は発生し機内に溜まります。
そのため、切粉の清掃を手早く、楽に行う方法を見つけておくことが重要になります。
- T溝に切粉が入り込まないようにする。
テーブルのT溝内は掃除がしづらく、切粉が溜まってしまいがちですが、放置しておくとT溝の詰まりの原因となってしまいます。
T溝内に切粉が入り込まないようにカバーを付けておくことで、上記のトラブルは解決することができます。
Tスロットカバー:T溝への切粉混入を防ぎます
- T溝清掃用の工具を使用する。
対策をしていても、気付いたらT溝内部に切粉が侵入してしまっている場合もあります。
少量でも、放置し続ければT溝の詰まりの原因となってしまいます。
T溝形状に合わせた清掃用の工具を用意しておくことで、加工毎に少しの手間で清掃を行うことが可能になります。
- クーラントで切粉を洗い流す。
加工後に残った切粉は、クーラントを吹き掛けることで流すことができます。
この時、先端角度を調節できるノズルや、噴出方向の自由度が高い銅管のノズルなどを用いることで、少ない手間で切粉を洗い流すことが可能になります。
適切な切粉対策は加工間の無駄な時間を削減し、機械稼働時間の向上へ繋がります。
一見見落としがちな項目ですが、この機会に一度方法を見直してみてはいかがでしょうか。
使用事例
実際の切粉対策
Tスロットカバーで切粉の入り込み防止
ノズル角度調整で複雑ワーク清掃も容易に
出典:株式会社ナベヤ