強度区分が高い鋼製ボルトを選定しても実際の使い方に問題があると、保証されたボルトの強度(引張強さなど)は保証できなくなります。ここでは、ボルトを用いた場合の締結の基本(常識のレベル)を図解します。
(1)ボルトのナットの組合せの場合
- ボルトとナットの締結強度は、おなじランクの強度区分のボルトとナットが正常に使用された場合の保証値です。
- 正常に使用された場合とは、ボルトのねじ山の数が標準厚さのナットの全てのねじ山と締結されている場合のことです(【図1】)。
- 【図2】の使い方が異常な使い方の事例です。ナット厚のねじ山の全てが有効に利用されていない状態です。
- 【図3】は、不完全ねじ部が長すぎる場合やショルダーボルトを間違って使用した場合などの事例です。ボルトとナットで被締結体が正常に締め付けられていません。
(2)ボルトとめねじの場合
- めねじにボルトで別部品を固定する場合は、めねじを切る側の材料強度に応じた、めねじ部の適正設計が必要です。
事例
- 材料強度が弱いもの(例えばアルミ材など)の場合、めねじ側のねじ山部の強度を増大させるためにめねじ深さを長く設計する。
- めねじ深さを長く設計できない場合には、ねじインサート(ミスミ:HLTSなど)で補強する。