オイル式ショックアブソーバとは
主にオイルを利用した緩衝器です。他の緩衝材(ゴム、スプリング、エアー等)と比較して小型で、大きな衝突エネルギーをはね返ることなくソフトに繰り返し吸収することができます。オイル式ショックアブソーバの内部構造及び基本原理は次のとおりです。
- ピストンロッドに物体が衝突すると、ピストンにて圧力室のオイルを圧縮します。
- インナーチューブとピストンの隙間は僅かなために圧縮されたオイルはオリフィスから噴出します。この時の動圧抵抗により衝撃エネルギーを熱エネルギーに変換します。
- ピストンロッドがショックアブソーバ本体に沈み込みますのでピストンロッドの体積膨張分だけのオイルはアキュムレータが収縮します。
- 以上の動作により理想的な衝撃吸収を行います。
- このオリフィスの数や大きさを変更することにより様々な吸収特性を得ることができます。(吸収特性構造による分類を参照)
- ショックアブソーバの選定時に衝突速度を間違えますと理想的な衝撃吸収にならずに衝突時に異常な反力が発生したり、衝撃エネルギーを吸収できないことになりますので注意してください。
選定手順
① 慣性エネルギー(E1)の算出
選定計算例に従って、衝突物質量(m)・衝突速度(V)・慣性モーメント(I)・衝突角速度(Ω)をもとに計算する。
② アブソーバのストロークの仮決定
図1−1・1−2より、仮ストローク(S’)を求める。
③ 付加エネルギー(E2’)の算出
推進力(F)の有無を確認し、選定計算例に従って付加エネルギーを算出する。
④ 総エネルギーの算出
慣性エネルギー(E1)+付加エネルギー(E2’)より、総エネルギーを算出する。
⑤ 等価質量のチェック
選定計算例に従って等価質量を計算し、カタログの最大等価質量(me’)値以下かどうかを確認する。
⑥ エネルギー比から吸収特性構造を選択
図2より、オリフィス形式を仮選定する。
選定計算例
※純慣性衝突の場合は衝突速度のみでオリフィス形式を選定する。
ショックアブソーバ 吸収特性構造による分類
構 造 |
調整幅広 タイプ |
* 調 整 タ イ プ |
固 定 タ イ プ |
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単 孔 オ リ フ ィ ス 構 造 |
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低速用 Aタイプ Bタイプ Lタイプ |
単孔オリフィス構造には、ピストンとシリンダチューブのすき間を利用したダッシュポット構造、ピストンにオリフィスを設けた単一チューブ構造、二重チューブタイプの単孔オリフィス構造があり、どれも同様の抗力特性を示します。 ここでは、代表して単一チューブ構造の説明をします。 オイルが充填されたシリンダチューブの中をピストンが摺動し、このピストンに単孔オリフィスが設けられた構造となっています。全ストロークにわたりオリフィス面積が一定なので、吸収特性は右図のように衝突直後の抗力が大きくなり、ストロークが進み速度が小さくなるに従って抗力も小さくなります。 |
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多 孔 変 則 オ リ フ ィ ス 構 造 |
− | 中速用 Mタイプ |
アウターチューブとインナーチューブの二重構造となっておりインナーチューブ内壁をピストンが摺動します。このインナーチューブには、複数のオリフィスがストローク方向にそって設けられ、一定減衰力でなく、目的に応じたエネルギー吸収を行うことができます。ストローク前半で運動エネルギーの吸収を行ない、後半で速度コントロールを行なうことができるように設計されています。このため、エアシリンダ推力に対して理想的にエネルギー吸収をします。 |
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多 孔 オ リ フ ィ ス 構 造 |
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高速用 Hタイプ |
アウターチューブとインナーチューブの二重構造となっており、インナーチューブ内壁をピストンが摺動します。このインナーチューブには複数のオリフィスがストローク方向にそって設けられています。ストロークが進み速度が小さくなるに従ってオリフィス面積が段階的に小さくなるので、抗力はさざ波状に変動しますが最大抗力は低く抑えることができます。 |
* 調整タイプNo.0806Mは単孔オリフィス構造、No.3625Lタイプは多孔オリフィス構造となります。