プラスチック成形金型の部品どうしを締結する方法でもっとも基本的な方法は、六角穴付きボルトでねじ締結する方法です。六角穴付きボルトの先端にはJIS規格のメートルねじが加工されていて、おねじであるボルトが、めねじのらせん穴にねじこまれて締結が行われます。
しかし、六角穴付きボルトによるねじ締結は、繰り返し振動や熱膨張の繰り返しなどによってねじが徐々に緩んでくる場合があります。ねじがある範囲を超えて緩んでしまった場合には、締結している部品の位置がずれてしまったり、ねじが折れてしまう等の事故につながる可能性があります。
ねじを緩ませないためには、ねじを強く締めておくことは有効ですが、しかしあまりにも強く締めすぎると、ねじ山に塑性伸びが発生し、逆に折れるきっかけを与えてしまうことがあるので、ねじの締めすぎには十分な注意が必要になります。
そこで、機械工学的に、ねじのゆるみ止めを行う方法がいくつか考案されておりますので紹介をします。
1.ダブルナット
この方法は、ナットを2つ重ねることによってねじ締結をする方法です。通常は、下に入れるナットを板厚が薄いものとします。ナットを2つ重ねることにより、片方のナットが外れようとすると、他のナットがそれを阻止しますので、ゆるみ止めを実現することができます。
ナットの上手な締め方として、ノウハウになりますが、上ナットを強く締めるか、締め終わりに下ナットを逆回転させておくとゆるみ止め効果はさらにしっかりしたものとなります。
2.ばね座金
ボルトと締結面の間にばね座金をはめ込んで締結する方法です。ばね座金を挿入することにより、ボルトが緩もうとする力を抑制することができます。もっとも簡便な方法になります。
3.ゆるみ止め付き特殊ナット
この方法は、ナットの途中に、ナイロンプラグや金属ピンを挿入して緩みを防止する特殊ナットを使用する方法です。また、ナットに摺り割り溝を加工した特殊ナットもあります。