ボルトとナットで2個の部品を締結した状態の力のつりあいで、締結状態の適正さ、締付けのゆるみ、ボルト破断などの判断が可能となります。ここでは基本的な解説をします。
(1)ボルト/ナットで締結した時の力のつりあい
- (a)
- ボルトとナットで2個の部品を締結した時、ボルト自体は引き伸ばす力(軸力)を受け、2個の被締結体は同じ力の圧縮力が作用します。この状態で、締結部は力のつりあいが取れます(【図1】)。
- (b)
- 縦軸に軸力、横軸にボルトの伸び量・被締結体の縮み量をとったグラフでa)状態を示すと【図2】となります。
- (c)
- 【図2】の2つの図の軸力は等しいので、これらのグラフを背中合わせに配置して合成グラフとしたのが【図3】で「締付け線図」と呼ばれます。
- (d)
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【図3】より、
tanθB = 軸力÷ボルトの伸び量= F÷△B = ボルトのばね定数(KB)
tanθC = 軸力÷被締結体の伸び量= F÷△C = 被締結体のばね定数(KC)
したがって、
ボルトの伸び量△B= F÷KB = F/ KB・・・(1)
被締結体の伸び量△C = F÷KC=F/ KC・・・(2) - (e)
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【図3】を式(1)、(2)で表現すると【図4】となります。この場合、弾性変形の範囲での締結では【図4】の三角形FBCは常に相似となります。したがって、軸力と(ボルトと被締結体の合計の変形量)の比が常に一定となり、この比率を「へたり係数:Z」または「締結体全体のばね定数」と呼びます。
へたり係数:Z = 軸力÷ボルトと被締結体の合計の変形量 = F÷F(KB+KC)/ KB・KC = KB・KC /(KB+KC)