ねじの製造は大きく分けて「a)転造方法」と「b)切削方法」の2つがあります。ここでは概要を解説します。
転造法によるねじの製作
- ねじ転造法(【図1】)とは、塑性変形によりねじ山を成形させる工法で、円筒形のねじ素材に転造ダイスを押し付けて素材表面にねじ山を成形させる加工法。
- この工法は、ねじ切削と比較して切屑を出さないため材料節約ができることと、きわめて高い量産性を持っている。
- また、転造ねじは応力集中を受ける谷底が加工硬化され、また面がなめらかであるため、切削ねじよりも強さの点で優れている。
- ボルトの製造方法は、ボルト頭部の冷間鍛造成形とねじ部の転造成形の工程で切粉を出さずに製造される。アルミ合金ボルトの例では、[1] 前方押出し、[2] 据込み、[3] 後方押出し、[4] ねじ転造の組合せで成形される(【図2】参照)。
切削によるねじの製作
(1)タップ加工とダイス加工
■a)タップ加工
- 手動によるハンドタップ(【写真1】)から自動のタッピングマシンまでがあります。めねじ加工専用です。
- タップ(tap)の意味は、「めねじ切り=めねじ立て」の意味と、タップダンス(tap-dance:タップを踏む)の軽くたたくの意味があります。
■b)ダイス加工
- ダイス加工は丸棒におねじを切る加工のことです。
(2)ねじ切りバイトによる切削加工(【図3】)
- ねじ切りバイトと旋盤やNC加工機の組合せで切削加工を用いてねじを削りだす工法
- 高い精度を必要とする場合や、転造法では加工できない部分のねじ加工に採用される。
(3)ねじフライスによるフライス加工
- マシニングセンタなどのCNC切削(コンピュータ制御で切削工具を多方向に移動させ合理的な切削加工を行う方式)と、ねじフライス工具を用いてヘリカル補間(ヘリカル形状に沿って工具を移動させる)によるねじ切削加工が登場しています。
- この工法は、マシニングセンタを用いてCNC制御で金型を自動加工する場合など、ねじの加工までCNC制御で行うことが出来ます。