ねじ用材料には金属と非金属(セラミックス、プラスチックスなど)がありますが、ここでは金属を取り上げます。ねじ用金属材料は下記のように分類できます。
(1)鉄鋼材料系
・ | 鉄鋼材料は組成と熱処理の選択により、安価で広範囲の特質の素材が選べます。 | |
・ | 一般的な炭素鋼と高強度を狙った合金鋼、耐食性に優れるステンレス鋼があります。 | |
・ | ボロンを微量に添加して焼入性能を高めたボロン鋼がその他に含まれます。 |
a)炭素鋼
・ | 素材特性として強度と靭性に優れています。 | |
・ | 切削加工や冷間/熱間鍛造加工などに適しています。 | |
・ | 素材価格が安価で調達が安定しています。 | |
・ | ねじ用材料には、一般構造用圧延鋼材(SS材)や機械構造用鋼(SC鋼)の線材や棒材を利用します。 | |
・ | 冷間圧造法を用いた冷間圧造用炭素線材(SWCH)は、機械的性質、組織の緻密さ、鋼材表面の品質、線径精度などがJISで規定されており、ねじ用線材として適しています。ミスミFAカタログの、超極低頭ボルト:CBSSE、CBSKEに採用しています。 |
b)合金鋼
・ | マンガン、クロム、モリブデンなどの元素添加により、炭素鋼では得られない高強度と高靭性を持つねじ用材料ができます。 | |
・ | ミスミFAカタログのCBMに採用されているクロムモリブデン鋼(SCM435)をはじめ、マンガン鋼、マンガンクロム鋼、クロム鋼、ニッケルクロム鋼、などがあります。 |
c)ステンレス鋼
・ | 鋼の表面に不動態被膜が形成されるため、錆の進展が抑制できる性質をもつもので、代表的鋼材としてSUS304(オーステナイト系)、SUS430(フェライト系)などがある。 | |
・ | 化学機器や海水プラント用途には耐食性が求められ、自動車の排ガス機器、航空機タービン部品用ねじ(SUS403、SUH660など)には高温強度・耐食・耐酸化性として、また錆びないことから家庭用木ねじ用(SUS430)などにSUS材が採用されます。 |
(2)非鉄鋼材料系
d)チタン合金
・ | 軽量で高い強度と耐食性に優れた素材です。航空機の構造用やエンジン用、化学プラント用などに採用されます(ミスミFAカタログのCBTなど)。 |