ステッピングモータ(ここでは5相タイプ)は、1回転を500ステップに分割し、基本ステップ角0.72度を制御単位として、回転角度と速度を簡単に制御することができるモータです。ここでは同一のステッピングモータ励磁方式の切り替えによる高精度化手法を紹介します。
(1)ステッピングモータの復習
・ | ステッピングモータはモータとモータドライバ(駆動回路)とコントローラ(パルス発振器)で構成される。 | |
・ | モータの回転角度(位置)と回転速度の制御は、コントローラによるパルス信号で制御される。 | |
・ | コントローラからのパルス信号は基本ステップ角(0.72度)の単位で制御される。 | |
・ | モータの運動制御はPLC(シーケンスコントローラ)をコントローラの上位に接続して自動制御する。 |
このことから、モータの位置精度の向上や限界速度のアップには、コントローラの高速制御性能と基本ステップ角の数値が関係することが解ります。一方、制御される機構は、可動体の重量(荷重)や摩擦抵抗などの回転トルクに負荷となる抵抗があります。
したがって、モータ容量が不足する場合では、過負荷状態(回転トルクよりも可動体側の抵抗が大きい場合など)や、急激な速度変化時には、コントローラ側の制御信号に対してモータの回転が追従できない(同期できない)脱調現象を生じる事となります。
(2)ステッピングモータの位置決め高精度化
5相タイプのステッピングモータは、モータドライバの内部スイッチまたは外部信号を用いて、同一モータでも次の2種類の基本ステップ角が選定できます。
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したがって、フルステップ仕様で制御していた機構にハーフステップ仕様を選定することで、回転位置精度を2倍に高精度化することが可能となります。反面、回転速度は1/2に減速されます。フルステップとハーフステップの使い分けで、位置決め分解能を選定したり振動を抑えることができます。