「はめあい」の解説に入る前に、寸法公差を説明します。
数学に出てくる数値、例えば50は正確に50ですが、設計図に示される図面寸法の数値(例えば50)は、その設計物の指定された寸法の目標値です。何らかの加工で製作される機械部品は、目標値(これを呼び寸法という)に対して加工誤差を伴います。この加工誤差の許容範囲を示す寸法値が公差です。
一般公差について
この公差は、設計図面の中で特に公差指示が必要な箇所にのみ記入し、そのほかの部分の寸法には標準的な公差(一般公差)を適用するものとして寸法表示を省略します。削り加工部品の公差の場合などでは、必要精度に応じて精級、中級、粗級と3種の公差規格が定められています(【表1】>:JISB0405より)。
表1.削り加工部品の一般公差表(JISB0405より)
(単位:mm)
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呼び寸法と公差の解釈
【図1】の場合で、軸径寸法が50±0.3のとき、50が呼び寸法で、軸径は最小49.7mm(50-0.3)から最大50.3mm(50+0.3)までが設計図面で許される寸法です。
はめあいと公差の考え方
軸と穴などの2個の部品の寸法関係では、両部品の直径をφ50の一般公差とすると50±0.3となり、50.3〜49.7mmの間の寸法が許容値となるため、軸が穴より大きくできる可能性があり、組立できない場合が生じます。そこで、軸と穴やスライダと案内などの対の部品をはめあわす場合の寸法公差をとくに「はめあい(設計)」として取り決めています。
軸と穴の「はめあい」の場合、穴径を優先して「はめあい」を選定し、そのはめあい設計に対応して軸径側で「はめあい」の度合い(すきまばめ、中間ばめ、しまりばめ)を調節させる方法が一般的です。これは、穴加工のほうが軸加工よりも一般的には難しいためです。