KKD(勘と経験と度胸)だけで、設計していませんか? 公差設計のメリット、必要な知識を分かりやすくご説明!
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- 公差設計のメリット / 計算事例
公差設計 習得で得られるメリット
最近、再び注目を浴びている公差設計。その公差設計のメリットについて、ご説明致します。
- 公差計算理論と判断基準を有して、正しい設計が出来るようになります。
公差計算を実施していると言う設計者でも、その実態を調査すると、
「先輩から教わった(OJT)」「独学」という回答がほとんどで、「いつも不安を抱えている」設計者が多く、
実は間違えて実施している方も少なくないのが実情です。
※約15000名の設計者に聴いたところ、約80%の方は公差計算を実施していないという回答です。((株)プラーナー調査)
公差設計理論を体系的に習得することで、「自信を持って」公差計算を行えるようになり、また後輩にもきちんと教えることができるようになります。
実は、公差設計の一番難しいところは、その「判断」と「処置」であり、
基本5種類の公差計算、Cp,Cpk(工程能力指数)、不良率等々を正しく計算し、数値で議論(判断と処置)することが重要です。 - 従来公差設計を実施していない会社には、大きなコストメリットが得られます。(30~50%)
20%を超えるコストダウンは、力づくでは達成できません。
現場での改善や調達努力では限界があり、やはり設計者が『設計の改革』を行わない限り、実現は不可能です。
そのことに気付いた設計リーダーあるいはトップが公差設計を全社推進し、その結果として30%以上のコストダウンを実現した事例は、
500テーマ以上あり(PLANER実績)、その一部を公開してくれている企業もあります。 - 設計品質問題を理論的に未然に解決します。
造ってみなければ解らない、などという設計は有り得ません。すべてが設計で決まるのです。
設計図面を見れば、この図面通りにすべての部品を造って組立を行えば、
どんな不良(故障、不具合)がどの程度の確率で発生するのか(不良率)は、簡単に計算できます。
これがFMEA(故障モード影響解析)であり、その各項目の不良発生確率を導き出し、改善を図るのが「公差設計」なのです。 - 他者の設計に対して、正しい評価が出来るようになります。(検図)
設計リーダーであるなら、部下(あるいは外部委託設計者)が設計した設計図面が正しく出来ているかどうかを、
即座に評価し指導することができなければなりません。(=検図)
リーダーとして大事な設計箇所に着目して公差計算(手計算レベル)を行い、危険そうなところが有れば、
設計者を呼んでその設計者が実施した公差計算書の確認をし、間違っていれば、それをきちんと指摘して正しい設計ができるように指導をする。
検図者の仕事は90%以上が公差設計のチェックに充てているはずです。
設計リーダーとしてこれが出来なければ、検図はもとより、部下の指導・育成もできないのです。
公差計算事例
次に公差計算事例についてご説明します。例えばこの装置において考えてみましょう。
隙間 f は、非常に重要な値であり、設計規格0.5±0.3を実現する必要があるという場合を考えてみましょう。
この隙間 f はA~Hまでの全ての部品によって構成されています。
A~Hまでの部品が、全て公差いっぱいばらついても設計規格が満足できるかどうかがポイントになり、
そのために各部品の公差をどのように設定していくかが重要になります。
ここでは簡易的なモデルで少し考えてみましょう。
下図の状態で、χのスキマを、0.5±0.4の範囲で設計する必要があり、部品Aの寸法は9.5±0.3のものを利用するという条件が与えられているとき、
B、C、Dの部品が同一部品とした場合の寸法と公差を計算する場合に、皆さんはどのようにしますか?
B、C、Dの寸法値は、(9.5-0.5)÷3=3となりますね。その上で公差の計算をする訳ですが、
公差の計算には大きく2つの方法があります。互換性の方法と不完全互換性の方法です。
全ての部品の公差が最悪状態(最大または最小)で組み立てられた場合の計算方法を互換性の方法といいます。
それに対してばらつきとその扱いからくる統計理論をベースに計算する方法を不完全互換性の方法といいます。
互換性の方法では、以下の式で計算して、結果が±0.033となります。
一方、不完全互換性の方法では、結果は±0.15となります。
互換性の方法
0.3+(T+T+T)=0.4
3T=0.1
T=0.033
不完全互換性の方法
0.32+T2+T2+T2=0.42
3T2=0.42-0.32
T2=0.0233
T=0.15
つまり、公差の計算方法によって、±0.033となるか、±0.15となるかが決まってきます。
この例の場合は約5倍の差となり、当然、コストにも大きな差が出てきます。
どちらの計算方法を採用するかは会社の方針であり、十分に確認する必要がありますが、
いずれにしても、この理論的背景を十分に認識しておくことが重要です。
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