ここでは、ピストンークランク機構を基本構造とするプレス機の倍力機構の例を解説します。
下図の【a】がプレス機の概略図です。『クランクOA』には偏心ディスクが用いられ、回転中心Oよりも下にディスク中心(重心)が来たときに、偏心ディスクの重量がプレス加工に作用するようにしたものです。
【b】は【a】のプレス機をスケルトン法で表現したものです。この【b】の『節A』における力のベクトル成分と、プレス機の加工点『B』における力のベクトル成分の比較から、倍力作用がえられることが分かります。偏心ディスクを用いることで、プレス機の下死点近傍(プレス加工エリア)で『節A』に作用する『接線力F0』を大きくさせ、その力をピストンにより垂直方向に変向して『プレス力FP』を形成します。