ローコストオートメーションを含む全ての生産手段は、それぞれの時代に採用された生産システムの考えに基づいて考案され実現されたものです。したがって、ローコストオートメーションの具体的な解説に入る前に、工業化社会の時代における生産システムのおおまかな流れをお話します。
生産システムの流れについて
第1段階:「成り行きの管理」から「科学的管理」の生産システムへ・・・テイラーイズム
1900年代前半、自動車組み立て工場などの作業に対してテイラー(F.W.Taylor:米国人)が「標準作業」「標準時間」を設定し時間の割り当てがなされたことで、作業効率の評価が可能となりました。
いわゆる、作業レベルの標準化の生産システムです。
LCA(ローコストオートメーション)の関連では、工具のみの時代です。
第2段階:大量生産のために同じ製品を繰り返し造る生産システム・・・フォーディズム
流れ作業が登場し、上記第1段階の作業時間の割り当てが作業時間の強制(作業サイクル、ピッチ)にかわり、ライン全体の効率が進められた時代です。チャップリンの映画モダンタイムスの時代です。ここでは、ライン効率のために3S(専門化;Specialize、単純化;Simplify、標準化;Standardize)がキーワードとして唱えられています。
いわゆるラインレベルの標準化を狙った生産システムです。
LCAの関連では、治具の時代です。
第3段階:売れる製品を効率よく造る生産システム・・・トヨタ生産方式(トヨタイズム)
多品種化に移行してゆくなかで、量による生産効率の追及の考えを変革させるために考案されたものです。それまでの専門作業者に対する作業時間の強制から多能工による作業時間の分かち合い(助け合い)の考えでライン・工場全体の平準生産が追求されました。生産技術の面では、「自働化:人べん付きの自動化」として、異常の顕在化により技術レベルの強化が進んだ時代です。
いわゆる工場レベル全体の連続的体質強化を狙った生産システムです。
LCAの関連では、メカトロニクスの時代と要約できます。
第4段階:売れる製品を速く供給する生産システム・・・リーン生産方式→CALSシステムへ
製品のライフサイクルの短命化とグローバル化における時間効率の必要性の背景から追求された生産システムです。開発・設計から生産・販売までの時間の同時化(コンカレントエンジニアリング)や、生産と販売と物流が長期的に連携を組む動きがコンピュータネットワークの技術を活用し検討が続けられています。
いわゆるサプライチェーンレベルの連携の生産システムです。
LCAの関連では、コンピュータアルゴリズムによる制御の時代と要約できます。